【塾あるある】「上のクラスだから有名大に受かる」は因果関係が逆、という話

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こんにちは、塾・予備校業界で働き始め、はや十数年の講師Nです。

 

この業界にいると色んな生徒・親に出会う訳なんですが、

 

今回は「無理やり子どもを上のクラスにねじ込もうとしてくる親」について語ってみたいと思います。

 

特に、現在子どもを塾に通わせている/これから通わせようとしている方は必見の内容です。

 

クラスを分ける理由

たいていの塾はレベル別にクラスを分けて授業を行っています。

 

考えてみれば当たり前の話ですね。「偏差値70の生徒」と「偏差値ccccc30の生徒」では、受けるべき授業も変わってくるはずです。

 

「偏差値70の生徒」は「基礎はある程度分かっていることを前提に踏み込んだ説明」が必要でしょうし、「偏差値30の生徒」は「基礎的な内容をイチから理解するための説明」が必要でしょう。両者は前提となる条件が違いすぎるため、ハッキリ言ってまともな授業を成り立たせることは非常に困難です。

 

 

特に、公立の小中学校の先生方は本当に大変だと思います。「偏差値70の生徒」から「偏差値30の生徒」までが混在しているのが公立の小中学校ですから。

 

自分が中学生の頃はそんなこと一ミリも考えず、「学校の授業は簡単すぎてつまんねー」とハ〇クソほじりつつ先生方をバカにしていたのですが、ハッキリ言ってバカなのは私の方でした。能力や前提条件が違い過ぎる集団にまともな授業を行うことは、ほぼ不可能(テーマにもよりますが)です。

 

「偏差値70の生徒」に合わせて「偏差値30の生徒」の生徒を置き去りにするか、

「偏差値30の生徒」に合わせて「偏差値70の生徒」の生徒を退屈させるかのどちらかです。

 

 

つまり、生徒たちにとって効果的な授業を展開するため、レベル別にクラスを分けることは絶対必要なのです。

 

「クラスが上だから有名大に受かる」は因果関係が逆

上のクラスには学力の(そしてたいていの場合やる気も)高い生徒が集まっているわけですので、進学実績も出やすいです。

 

上のクラスの進学実績が優れているのを見て、

「ウチの子も上のクラスになんとか入れないと」

と考える人が続出します。

 

 

まあここまでは正しいです。

 

頑張って勉強をして、クラス替えテスト等で結果を残し、なんとか上のクラスに食い込んで…必然的にその子の学力も上がるでしょうから、有名大を目指す資格を得ることになります。

 

 

ただ、ヤバいのが、

「塾になんとか掛け合って、ウチの子を上のクラスに入れないと」

と考える親です。

 

 

「この間のクラス替えテストは緊張して実力が出せなかった」

「下のクラスで勉強しても意味がない」

「金を払っているのだからクラスくらい選ばせろ」

等といった要求を通そうとしてきます。

 

大体そういうことを言ってくる親の子どもは、無気力/授業態度が悪いケースが多いのですが(子は親に似るのですね)、実力もやる気もないのに、そんな生徒を上のクラスへ入れたって無駄なのです。授業へ全くついていけず、ドロップアウトするのがオチです。ついでに、やる気のなさは周りにも伝播しますので、クラスの雰囲気を悪くしてしまいます。

 

 

少し考えればわかることなのですが、

「実力がある⇒上のクラスに入れる」のであって、「上のクラスに入る⇒実力がつく」というわけではないのです。

 

 

上のクラスにいるだけで実力がつくのであれば、誰も苦労はしません。むしろ、分相応なクラスに所属することは、百害あって一利なしです。

 

 

スラムダンクに谷沢という「身体能力はあるけど、技術があまりない」選手が登場します。周囲の反対を押し切りアメリカにバスケ留学をするが、周りのレベルについていけず、結局脱落してしまう選手です。

 

 

そんな谷沢が最後に遺したセリフに、こんなものがあります。

 

「バスケットの国アメリカの、その空気を吸うだけで僕は高く跳べると思っていたのかなぁ…」

 

 

裏技を使い、我が子を上のクラスへ在籍させようとする親のメンタリティーそのものですね。上のクラスに在籍するだけで実力がつくのではなく、上のクラスに在籍できるだけの勉強をすることで実力がつくのです。結果、有名大にも合格できるのです。

 

 

なので、子どもを上のクラスへ入れたければ、「塾側へどう無理な要求を呑ませるか」ではなく、「我が子にどう学力を付けさせるか(これも中々難しいんですが)」に注力すべきです。

 

そんな至極当たり前の話でした。

 

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