今回は、
- 川や海にtheが付く理由
- 湖にtheが付かない理由
を考えてみたいと思います。
また、上記が理解できると、
- the Chuo line (中央線)
- the Cascade Tunnel (カスケードトンネル)
- the Yokohama Bay Bridge (横浜ベイブリッジ)
- the Japanese Islands (日本列島)
- the United States (アメリカ合衆国)
- the Browns (ブラウン一家)
- the Alps (アルプス山脈)
- the New York Yankees (ニューヨークヤンキース)
といった表現にtheが付く理由も一気に理解できます。
少ない知識で色々なことが理解できる…
なんだかワクワクしてきますね!
theの基本的な機能
まずはtheの基本的な機能から確認しましょう。
theは、読者が「ああ、それね」と指差せるモノにつきます。
例えば次の例文をみてください。読者が「ああ、そのイヌね」と指差すことが出来るので、二度目に出てくるdogにはtheが付いています。
There was a dog, and the dog was barking.
(一匹のイヌがいた。そして、そのイヌは吠えていた)
読者が「ああ、それね」と指差せるという感覚は、
他のモノと区別する感覚につながっていきます。
イメージは下記の通りです。オレンジ色の特定のイヌを他のイヌと区別しています。
さらに、下記のようにイヌが二匹になった場合を考えてみましょう。
There was two dogs, and the dogs was barking.
(二匹のイヌがいた。そして、そのイヌたちは吠えていた)
二匹のイヌを他のイヌから区別していますね。この場合は、加えて、二匹という複数のイヌを、カタマリとしてまとめあげている点にも注目してください。
ポイントをまとめましょう。theには下記のような力があります。
- 「ああそれね」と指差せる力
- 他のモノと区別する力
- カタマリとしてまとめ上げる力
上記のことを踏まえたうえで、theが付く表現を個別に見ていきます。
川river や海sea/ocean にtheが付く理由
川や海にtheが付く理由から考えていきましょう。
まずは、ちょっと考えて頂きたいのですが、
信濃川、日本海、太平洋、地中海…
これらにハッキリした輪郭を思い浮かべることが出来ますか?
おそらく答えは「No」だと思います。
地図上でなんとなくの位置を思い浮かべることが出来るとは思いますが、
「どこからどこまでが○○川/○○海」という線引きはあいまいだと思います。
現代でさえそうなのですから、昔はなおさらです。
川や海を正確な地図で捉えることは難しかったでしょうし、特に川などは、治水事業も進んでいなかったと思われるので、氾濫などをきっかけに川の形が変わることもあったかもしれません。
つまり、境界線があいまいなのです。
そして、英語圏の昔の人々はこう考えた/感じたハズです。
境界はあいまいだけれど、川や海を一つのまとまったものとして呼びたい…。
そこへ登場するのがtheです。
そう、theにはなにかを他と区別しまとめ上げる力があったのですね。
例えば川であれば、「土の部分 / 蛇行する川のルート」をそれぞれ別個のモノとして区別することができるのです。
というわけで、下記のような海・川には原則theが付くのですね。
- the Mediterranean Sea (地中海)
- the Shinano River (信濃川)
- the Sea of Japan (日本海)
- the Pacific Ocean (太平洋)
湖にtheが付かない理由
ここまでくれば、湖にtheが付かない理由を理解するのは比較的容易です。
例えば河口湖を考えてみてください。
河口湖の輪郭はハッキリしていますか?
答えは「Yes」ですね。
湖は閉じられた場所に出来た水たまりのようなもの (比較的狭いことが多い)なので、輪郭がハッキリしているのです。
つまり、わざわざtheをつけて輪郭をつけてやる、まとまったものにしてやる必要がないのです。
そのため、下記のような表現ではtheが付いていないのです。
- Lake Victoria (ヴィクトリア湖)
- Lake Kawaguchi (河口湖)
〇〇線 (電車の路線)、トンネル、橋…にtheが付く理由
最後に、下記の表現にtheが付く理由を考えてみましょう。
- the Chuo line (中央線)
- the Cascade Tunnel (カスケードトンネル)
- the Yokohama Bay Bridge (横浜ベイブリッジ)
- the Japanese Islands (日本列島)
- the United States (アメリカ合衆国)
- the Browns (ブラウン一家)
- the Alps (アルプス山脈)
- the New York Yankees (ニューヨークヤンキース)
便宜上、いくつかに分けて解説します。
〇〇線 (電車の路線)、トンネル、橋
〇〇線 (電車の路線)、トンネル、橋には原則theが付きます。
どれも細長いのが特徴ですね。
細長いので、ぱっと見で全体像を捉えづらい。したがって、theを付けて輪郭をハッキリさせてやる必要がある、という感覚です。
- the Chuo line (中央線)
- the Cascade Tunnel (カスケードトンネル)
- the Yokohama Bay Bridge (横浜ベイブリッジ)
○○列島、合衆国
列島や国の名前にもtheが付くことがあります。
やはり、バラバラのモノを一つにまとめ上げるイメージです。
日本列島は、バラバラの島を一つにまとめあげたモノ、
アメリカ合衆国は、バラバラの州を一つにまとめ上げたモノです。
したがい、頭にtheが付くのですね。(イギリスやオランダも同様です)
- the Japanese Islands (日本列島)
- the United States (アメリカ合衆国)
- the United Kingdom (イギリス)
- the Netherlands (オランダ)
〇〇一家、〇〇山脈、チーム名
〇〇一家、〇〇山脈、チーム名にも原則theが付きます。
これもいままで同様、バラバラのモノを一つにまとめあげるイメージです。
- ブラウン一家は、「たくさんのブラウンさん」を一つに捉える表現
- アルプス山脈は、「色々と連なる山」を一つの山脈として捉える表現
- ニューヨークヤンキースは、「色々な選手やスタッフたち」を一つのチームとして捉える表現
ですね。
これが
- the Browns (ブラウン一家)
- the Alps (アルプス山脈)
- the New York Yankees (ニューヨークヤンキース)
でtheを使うイメージにつながっています。
まとめ
いかがでしたか? 最後にポイントをまとめてみたいと思います。
- 「ああそれね」と指差せる力
- 他のモノと区別する力
- カタマリとしてまとめ上げる力
- 川や海
- 路線
- トンネル
- 橋
- 列島
- 国 (複数の州などのまとまりで出来ている場合)
- 〇〇一家
- 山脈
- チーム名
⇒湖はまとめる必要がないので、theは付かない
theも丁寧に考えていくと、丸暗記を避けることが出来ますね!
なお、冠詞についてさらに詳しく学びたい方には、aとtheの底力 — 冠詞で見えるネイティブスピーカーの世界がおススメです。
わたしが今まで読んだ冠詞系の本の中で、一番わかりやすい&本質に迫った説明がなされていると感じました。一般の書店にはあまりないのですが、ぜひ一度お読みすることをおススメします。
コメント