「もし~なら(条件)」という表現ってなに?、と聞かれたら、真っ先にifが思い浮かぶことと思います。
ただ、似たような意味を持つ表現はほかにもいくつかあるので、これを機会に一気にまとめて紹介したいと思います。一部紛らわしい表現もあるので、要チェックです!
条件のif「もし~なら」と類似の表現
まずは下記の表をご覧ください。
上の表が条件のif「もし~なら」、下の表がeven if「たとえ~だとしても」の表現まとめです。
原形 | 現在分詞 | 過去分詞 | |
もし~なら ≒if | suppose (that) | supposing (that) | – |
– | providing (that) | provided (that) | |
on condition that |
原形 | 現在分詞 | 過去分詞 | |
もし~だとしても ≒even if | – | granting (that) | granted (that) |
ポイントは、
①supposeのみ「原形、現在分詞OK」、その他は「現在分詞、過去分詞OK」
②on condition thatのみ「that省略NG」、「その他はthat省略OK」
という点です。
例文つきで順番に見ていきます。
「もし~なら」if
ifと類似の表現は、suppose, supposing, providing, provided, on condition thatですね。
If it rains, we will put off the game.
= Suppose (that) it rains, we will put off the game.
= Supposing (that) it rains, we will put off the game.
= Providing (that) it rains, we will put off the game.
= Provided (that) it rains, we will put off the game.
= On condition that it rains, we will put off the game.
(もし雨が降るなら、我々はその試合を延期する)
なお、
supposeには「~と思う、考える」、
provideには「~を与える、規定する」、
conditionには「状態、状況」
という意味があります。
suppose that~なら「~と考えると」
providing that~なら「~と(いう状況を)与えると、想定すると」
on condition that~なら「~という状況では」
という直訳になり、全て「もし~なら」と同様の意味を示すことになりますね。
「もし~だとしても」even if
次はeven ifと類似の表現です。ifとは少し意味が異なるので、注意が必要です。
Even if it rains, we will not put off the game.
= Granting (that) it rains, we will not put off the game.
= Granted (that) it rains, we will not put off the game.
(もし雨が降るにしても、我々はその試合を延期しない)
「もし~があっても、俺たちは立ち向かっちゃうぜ、諦めないぜ」そんな表現ですね。
ちなみに、grantには「承諾する、認める」という意味があります。
granting that~で「~ということを認めるにしても」という直訳になり、「もし~だとしても」とほぼ同様の意味になりますね。
仮定のifではsuppose, supposing以外使用不可!
上記で取り上げたのは、条件のif (あるいはeven if)の話なんですね。
仮定のif(あるいはeven if)の話とは区別しなければならないのです。
仮定のifと置き換え可能なのは、以下の表現のみです。
- suppose (that)
- supposing (that)
条件のif/仮定のifの違いとは?

条件のif/仮定のifの違いってなに??
ポイントは、「妄想ワールドに入っているかどうか?」です。
次の例文を見てください。上が条件のif、下が仮定のifです。
【条件】If it rains, we will put off the game.
(もし雨が降れば、我々はその試合を延期する)
【仮定】If I were a bird, I would fly to you.
(もしわたしが鳥ならば、わたしはあなたの所へ飛んでいくのに)
まず上の条件のifの例文から。こちらは「もし雨が降れば~」という文ですね。
まあ、雨が降るかどうかわからないけれども、雨が降る可能性は否定できない。普通に雨って降る可能性があるよね。現実に起こり得るよね。そういう発想で書かれた文なんですね。だから「rains, will」というように、通常の時制が使われているんです。
一方、下の仮定のifの例文は、日本語だけ見れば「もし~ならば」ですが、意味合いは全く異なります。それは、「わたしが鳥になる」という非現実的な仮定、あり得ない仮定を置いているところです。ドラえもんの秘密道具でも使わない限り、現実世界で「わたしが鳥になる」なんてことはあり得ないんです。
このように、「これはあり得ない仮定なんだけど、もし~」というニュアンスを出したい場合、仮定のifの登場です。見分け方は時制です。
「わたしが鳥なら、あなたの所へ飛んでいく」って現在の話をしていますよね。にもかかわらず、動詞の時制はwere, would flyと、一つ過去にずれています。過去に時制をずらすことで、「これはあり得ない仮定なんだけど、もし~」というニュアンスを出しているわけですね。
このような仮定のifのときは、suppose, supposing以外置き換えはいけないですよ、という話です。
If I were a bird, I would fly to you.
= Suppose (that) I were a bird, I would fly to you.
= Supposing (that) I were a bird, I would fly to you.
(もしわたしが鳥ならば、わたしはあなたの所へ飛んでいくのに)
これは余談ですが、何があり得ない仮定で、何があり得る仮定か?は、文脈や書き手の考え方次第です。
たとえば、If it rained~「あり得ないことだけど、もし雨が降れば」みたいな文章も、文脈次第ではあるわけです。例えばチリのアタカマ砂漠なんかでは、500年間雨の降らなかった時期があったそうで、そんな地域の話をするときは、rainをrainedにしてもいいわけです。
また、If I were a bird~も同様で、漫画の中で、ドラえもんの発言として使われるのであれば、If I am a bird~みたいな表現もあるかもしれないわけです。秘密道具使えば「鳥になる」という話も普通にあり得るわけですから。
おわりに
あらためてポイントをまとめておきます。条件のifと仮定のifの区別はちょっと難しいかもしれないですが、ifを使いこなすためには必須の理解です。ぜひマスターしてくださいね。
原形 | 現在分詞 | 過去分詞 | |
もし~なら ≒if(条件) | suppose (that) | supposing (that) | – |
– | providing (that) | provided (that) | |
on condition that |
原形 | 現在分詞 | 過去分詞 | |
もし~だとしても ≒even if(条件) | – | granting (that) | granted (that) |
- supposeのみ「原形、現在分詞OK」、その他は「現在分詞、過去分詞OK」
- on condition thatのみ「that省略NG」、その他は「that省略OK」
- suppose (supposing)のみ仮定のifにも流用OK。その他はNG
- 条件のifは「現実にあり得る話」、仮定のifは「現実にあり得ない話」に使用
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それでは!
コメント
[…] <参考>条件の接続詞まとめ【suppose, providing, on condition等】 […]
on condition that that となっていますよ。
ご指摘誠にありがとうございます。修正しておきました。