今回は固有名詞(人や会社の名前など)にa/an 不定冠詞が付く場合の意味を解説してみます。
なにそれ?
たとえば、“Mr. Sato (佐藤さん)”という表現の前に、通常aは付きません。つまり、 “A Mr. Sato”とはなりません。
しかし、例外的に”A Mr. Sato”という形になることがあるのですね。さらに、その訳し方がやや特殊なのです。
イメージがわかない…
まずは具体例を見てみましょう!
固有名詞にa/an不定冠詞が付く場合の意味まとめ
固有名詞にa/an不定冠詞が付く場合の意味まとめは下記の通りです。
- a Darvish (ダルビッシュのような人)
- a Mr. Sato (佐藤さんとかいう人)
- a Picasso (ピカソの作品)
- a Brown (ブラウン家の人)
どうしてこんな意味になるの?
理解のカギは、a/anが持つイメージにあります。
a/anのイメージ
a/anが持つイメージを、下記の例文で考えていきましょう。
There was a dog. (一匹のイヌがいた)
世の中にイヌはたくさんいますよね。
たくさんいるんだけれども、たくさんいる中のある一匹のイヌが目の前にいた、というのがaが持つ意味です。
イメージ図は下記の通りです。かなり雑&不気味な図ですが、たくさんいる中のある一匹のイヌ、というイメージを図でもつかんでくださいね。
a/an + 固有名詞の例
a/anのイメージをつかんだところで、先ほどの表現の意味をひとつずつ見ていきましょう。
a Darvish (ダルビッシュのような人)
“a Darvish (ダルビッシュのような人)”からです。
aには、たくさんある中のある一つという意味があるのでした。
甲子園を見る方ならわかると思いますが、スゴイ投手が出てくると、
- 北陸のダルビッシュ
- 九州のダルビッシュ
- みちのくのダルビッシュ…
などと、「○○のダルビッシュ」がたくさん出てきますよね。
日ハムから大リーグに移籍し、活躍しているダルビッシュ選手というのは、
もちろん世の中に唯一の存在なのですが、「ダルビッシュ選手のような人」は世の中にたくさんいますよね。
“a Darvish (ダルビッシュのような人)”という表現は、世の中にたくさんいる「ダルビッシュ選手のような人」の中から一人だけを抜き出し、それに言及している表現なのですね。
例文はコチラです。
I want to be a Darvish. (わたしはダルビッシュのような人になりたい)
a Mr. Sato (佐藤さんとかいう人)
“a Mr. Sato (佐藤さんとかいう人)”です。
これは二つの例文を見比べてみると良いでしょう。
まずはaのないパターンから。
Mr. Sato visited you.
(佐藤さんが君を訪ねてきた)
たとえば、自分の不在中に、たまたま家にいた母親が「アンタのいない間、クラスメイトの佐藤さんが訪ねてきたわよ」というシチュエーションです。
母親は佐藤さんのことをよく知っていて、特定の佐藤さんとして、個人名をちゃんと認識しているのですね。
一方、次の例文では意味がだいぶ変わってきます。
A Mr. Sato visited you.
(佐藤さんとかいう人が君を訪ねてきた)
aがつくので、世の中に色々いる佐藤さんの中のある一人という意味になります。
先ほどと同じく、自分の不在中に、たまたま家にいた母親に佐藤さんが訪ねてきます。ただ、母親はその佐藤さんのことを知らないのですね。
知らないので、「世の中に色々いる佐藤さんの中のある一人」としか認識できないのです。つまり、母親にとってはよくわからない不特定の佐藤さんが訪ねてきたというイメージです。
そのため、a Mr. Sato (佐藤さんとかいう人)という訳になるのです。
a Picasso (ピカソの作品)
“a Picasso (ピカソの作品)”という意味になることもあります。
ピカソはたくさんの作品を生み出しましたが、色々ある中のピカソの作品のある一つという意味でaが付いているのですね。
例文も載せておきます。aの有無での意味の違いに注目です。
I have seen Picasso.
(ピカソに会ったことがある)
I have seen a Picasso.
(ピカソの作品を見たことがある)
a Brown (ブラウン家の人)
“a Brown (ブラウン家の人)”という意味になることもあります。
ブラウン家の色々いる人の中のある一人、という意味合いで使われているのですね。
例文はコチラです。
He is a Brown.
(彼はブラウン家の人だ)
応用編:複数形になると…
最後に応用編です。
aが付いたら色々ある中のある一つ、という意味になるので、それが複数形と結びつくと、色々ある中の二つ、三つ…という意味になります。
例文はコチラです。単数形と意味はほぼ同じですね。
I have a Toyota.
(1つのトヨタ製品を持っている)
I have two Toyotas.
(2つのトヨタ製品を持っている)
We have a Tanaka in this class.
(このクラスには1人の田中という人がいる)
We have two Tanakas in this class.
(このクラスには2人の田中という人がいる)
まとめ
いかがでしたか?
最後に意味をまとめておきます。
- a Darvish (ダルビッシュのような人)
- a Mr. Sato (佐藤さんとかいう人)
- a Picasso (ピカソの作品)
- a Brown (ブラウン家の人)
お気づきの方も多いとは思いますが、たとえばa Picassoという表現では、
- ピカソのような人
- ピカソとかいう人
- ピカソの作品
- ピカソ家の人
という様々な意味になり得ます。
要は文脈判断というわけです。
注意深く見ると、実際の英文でもちょくちょく見る表現ですので、これを機会にマスターできれば良いですね。
なお、a/anが「同じ」という意味になる理由についても記事でまとめています
また、冠詞についてさらに詳しく学びたい方には、aとtheの底力 — 冠詞で見えるネイティブスピーカーの世界がおススメです。
わたしが今まで読んだ冠詞系の本の中で、一番わかりやすい&本質に迫った説明がなされていると感じました。一般の書店にはあまりないのですが、ぜひ一度お読みすることをおススメします。
コメント
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