今回はto not Vという形について考察をしてみました。
一般的に不定詞to Vを否定するときはnot to Vという語順になるのですが、例外的にto not Vとなることもあります。
to not Vという語順はあり得るのか? どういった場合にその語順になるのか?
今回はそれを考察してみました。
分離不定詞: to Vの間に語句が挟まれる
さて、notに限らず、toとVの間に何か語句を挟むこと自体に議論が起きたこともあったようですが、現在では概ね認められつつあるようです。
このように、toとVの間に語句を挟む現象を分離不定詞(Split Infinitive)と呼びます。
有名な例文としては、下記の表現が挙げられます。赤字の語句が、太字のto Vに挟まれています。
to boldly go where no man has gone before
(誰も行ったことのない場所へ大胆に行く)
The population is expected to more than double in the next ten years.
(人口は次の10年間で倍以上になると予測されている)
他にも、下記のような例もあります。
分離不定詞を使わないと、entirelyがfailedにかかっているのか(上の訳)、comprehendにかかっているのか(下の訳)が曖昧になってしまいます。
He failed entirely to comprehend it.
(彼はそれを全く理解することが出来なかった)
or
(彼はそれを完全には理解すること出来なかった)
一方、分離不定詞を使い、entirelyをcomprehendの直前に持ってくると、entirelyがcomprehendにかかることが明確になります。
He failed to entirely comprehend it.
(彼はそれを完全には理解することが出来なかった)
not to Vとto not Vの違い
では、notを使ったパターンの分離不定詞not to Vがあるか?
答えは、あります。
実は、ネイティブの間でも議論があるところで、to not Vを正しい用法と認めない人も多いようですが、実際使われることはあります。
例えば下記の例文のように、not to Vとすると意味に曖昧さが生じる場合は、特にto not Vとの違いが鮮明です。
notがwasにかかるのか、to Vにかかるのか、で意味が変わってきます。
The decision was not to participate in the conference.
(決定は、その会議に加わることではなかった)
The decision was not to participate in the conference.
(決定は、その会議に加わらないことだった)
しかし、分離不定詞を使い、to not Vの形にすると、そのような曖昧さを回避することが出来ます。
The decision was to not participate in the conference.
(決定は、その会議に加わらないことだった)
おわりに
いかがでしたか? 試験に出ることはほぼないですが、以上、豆知識的な分離不定詞の話でした。実際の英会話やtwitterなど、くだけた文ではちょくちょく目にするので、これを機会に身に着けてくださいね。
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