こんにちは、洋楽で英語を学ぶシリーズ、今回の題材は”Rocky Raccoon(ロッキー・ラクーン)”です。
ビートルズの楽曲で、“THE BEATLES”内に収められている一曲です。「この曲が好き」という人にあまり会ったことがない気がしますが、よくよく聴くとなかなか味わい深い曲です。
(好きな女を他の男に取られる…という悲しいお話です。なんか他人事とは思えないのですね)
“Rocky Raccoon”のざっくりした歌詞
“Rocky Raccoon”のざっくりした歌詞を見ていきましょう。
冒頭でも触れた通り、ロッキーの恋人が他の男に取られてしまうのですね。二人はロッキーを置いて駆け落ちしていしまいます。もちろんそのまま引き下がるわけにはいきません。ロッキーはこう言うのです。
「そいつのことをぶちのめしてやる」と。
どうにかして男の居場所を突き止めたのでしょう。ロッキーは地元の宿で部屋を借ります。
その後控える男との決闘、愛する恋人に裏切られたという事実。ロッキーの心は怒りと緊張と悲しみとで渦巻いていたのでしょう。
そして部屋の扉を開けたところで、今回取り上げたい一節が出てきます。
only to V: 結局Vするだけ
さて、今回の曲に注目したいのは次の表現です。
- ~(,) only to V: ~するが、Vするだけだ
※カンマは省略可
これは不定詞to Vの結果の用法というものが使用されています。ざっくり言うと、前から訳していくのがポイントです。
結果の用法の定型表現として「~(,) only to V: ~するが、Vするだけだ」というものがあります。“only to V”の部分に「がっかり感」を表現が置かれます。これがこの曲のキーフレーズの一つになっているのですね。
ホテルにチェックインしたところから見ていきましょう。
Rocky Raccoon checked into his room
Only to find Gideon’s Bible.
(ロッキー・ラクーンが部屋に入って、
ギデオン・バイブルを見つけただけだった)
日本のビジネスホテルでも聖書が置いてあることがありますが、きっとそのようなイメージなのでしょう。ここでわざわざ”only to V”が使われているということは、めぼしいものが部屋の中には他になかったのだと思います。
恋敵との決闘を控えるロッキー。彼がいたのは、必要最低限の機能だけを備えた寒々とした部屋。きっと心細かったに違いありません
そして、ロッキーは拳銃を携え、いよいよ決闘に臨みます。なんと恋敵とロッキーの恋人(元・恋人というべきでしょうか)は、ロッキーの隣の部屋でダンスを踊っているのですね。
そこへロッキーが飛び込み、こう言います。
「決闘だ」と。
しかし、予想通りというか、ロッキーはボコボコにやられます。恋敵の方が拳銃の腕が上だったのですね。
決闘に敗れたロッキーは酒臭い医者に診てもらいながら、こう強がります。
「こんなのただのかすり傷。すぐに良くなるさ、すぐにね…」
で、ロッキーは再び部屋に戻ってきます(そういえば、隣の部屋に恋敵と元・恋人はまだいるのでしょうか)。
そして、そこで再び聖書を見つけます。
And now Rocky Raccoon, he fell back in his room
Only to find Gideon’s Bible.
(そしていま、ロッキー・ラクーンは部屋に戻ってくるが、
ギデオン・バイブルを見つけただけだった)
恋人は取られ、決闘には負け、もう散々なロッキー。わざわざ部屋まで取ったのに、残るのは傷跡と屈辱だけ。寒々とした部屋に退却してきても、そこにあるのはバイブルだけ。全てを失ったロッキーの心情が嫌と言うほど凝縮されているのです。
しかし、この曲は、最後に救いのようなものが提示されています。”only to V”は関係ないのですが、せっかくなので終わりの一節を見てみましょう。
Gideon checked out and he left it no doubt
To help with good Rocky’s revival
(ギデオンは、きっとそのバイブルを置いてチェックアウトしたんだろう
ロッキーの復活の手助けとなるように)
ギデオンというのは、旧約聖書に登場する人物です。彼がこのさびれた部屋にバイブルを置いていった可能性なんでもちろんありません笑。きっとホテルの係員が備え付けただけのものです。
けれど、大切な恋人を失い、どん底に落ち切ったロッキーにとって、事実はどうでも良いのではないでしょうか。
ギデオンがロッキーのために何かを残してくれたのではないか。ギデオンだけはロッキーのそばにいてくれるのではないいか。そう夢想するだけでも、彼の魂は随分と救われた気がするのです。
おわりに
いかがでしたか?
今回の表現は入試や英検などの各種試験はもちろん、実際の英文でもしばしば見かける表現です。何度か口ずさみ、リズムに乗せて覚えられると英語学習がいっそう楽しくなると思います。
“only to V”とセットで押さえておきたい表現に”never to V”というものがあります。こちらも下記の記事で5分程度で読めるので、興味があればぜひお読みくださいね。
【歌で学ぶ英語】Grandfather’s Clock【never to V】
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