今回は関係代名詞/関係副詞の非制限用法について説明します。
ひせいげんようほう??
一発でわかるようカンタンに説明します。制限用法との違いも要チェックですね。
非制限用法とは? 制限用法との意味の違い
非制限用法とは、カンマ付きの関係代名詞/関係副詞のコトです。カンマがあるのがポイント。
非制限用法が使える関係代名詞/関係副詞は決まっているので注意です。また、非制限用法での関係代名詞/関係副詞の省略は不可なので要注意です。
- which, who, whom, whose, when, where, as
- 前置詞+which/whom
- 名詞+前置詞+which/whom
⇒カンマの部分に接続詞を補い、前から訳していく
⇒非制限用法での関係詞は省略不可
⇒固有名詞には原則非制限用法を使用する
<非制限用法での使用NG>
- what, that, why, how, but, than
例文はコチラです。
He has three sons, who live in Tokyo.
(彼は3人の息子がいるが、その3人の息子は東京に住んでいる)
先行詞はthree sons「3人の息子」ですね。three sonsを、who~のカタマリが付け足すように説明しているんです。
「~だが、…である」と、頭から訳すようにしてください。「付け足すように説明」という感じが非制限用法の特徴です。
制限用法と非制限用法の意味の違い
次に制限用法と非制限用法の違いを説明します。制限用法はいわゆるフツーの用法、非制限用法はカンマ付きの用法です。
なんのために非制限用法を使うの?
フツーの関係代名詞じゃダメなの?
制限用法、非制限用法をそれぞれ例文で見てみましょう。
制限用法の意味
まずは制限用法から。
<制限用法>
He has three sons who live in Tokyo.
(彼は東京に住んでいる3人の息子がいる)
制限用法は、「東京に住んでいる→3人の息子」と、関係代名詞のカタマリをまず訳し、それが先行詞「3人の息子」を修飾するように訳していますね。これ、あくまで「3人の息子」について話しているだけなんです。「4人目、5人目…」の息子がいる可能性があるんですよ。
日本語でも「東京に住んでいる息子が3人いるんですよ」と言ったとき、他に息子がいる可能性を否定できませんよね。名詞を修飾するとき、この現象が起きるんです。
「東京に住む→3人の息子」といってしまうと、ほかに「大阪に住む→2人の息子」、「パリに住む→1人の息子」…がいるかもしれないという、その他の可能性を残してしまうからです。もちろん他に息子がいない、息子は3人だけ、という可能性もあるんですけど、そこがハッキリしないんですね。
図で示すと次のようなイメージです。
非制限用法の意味
次に非制限用法の例文です。
<非制限用法>
He has three sons, who live in Tokyo.
(彼は3人の息子がいる。その3人の息子は東京に住んでいる
= 彼は3人の息子がいるが、その3人の息子は東京に住んでいる)
非制限用法では、「4人目、5人目…」の息子がいる可能性を排除できるんです。
「彼は3人の息子がいる。その3人の息子は東京に住んでいる」と、一度文を切っています。(註:試験では「~だが、…だ」という下の方の訳が無難ですが、意味合いとしては文を切ってしまって構いません)カンマがあるおかげで、「~だ。…だ」と途中で文が切れているんですね。
文が切れるとどういう意味になるかというと、「4人目、5人目…」の息子がいる可能性を排除できるんです。「彼には3人の息子がいる」とまず言い切ってしまっているわけですから。「3人」であることを言い切って、そのうえで「3人の息子は~している」と、+αの情報を付け足しているわけです。+αの情報を付け足すとき、最初に言い切っているわけなので、「4人目、5人目…」の息子がいる可能性を排除できるんです。
図で示すと次のようなイメージです。
制限用法を使えないパターン
制限用法を使わず、非制限用法を使用すべきパターンというものが存在します。
固有名詞について言及するときは、非制限用法を使うのが一般的です。
例文で見てみましょう。
<制限用法NGのパターン>
I love New York which I visited last year.
(私は昨年訪れたニューヨークが好きだ)
I was born in 1945 when Second World War ended.
(私は第二次世界大戦が終わった1945年に生まれた)
何がダメなの?
制限用法の意味を思い出してください。制限用法を使うと、その他の可能性を残してしまうんでした。息子のたとえ話で言えば、「4人目、5人目…」の息子がいる可能性を排除できないんです。
今回の話に当てはめると、「2つめ、3つめ…」のニューヨークが存在する可能性を残してしまうということです。ニューヨークは1つしか存在しないので、これはおかしいです。なので、ここでは非制限用法を使うのが正しいのです。
年号も同じく、基本的に唯一無二の存在です。1945年も2000年も、全て一つしかありません。そのため、原則として非制限用法を使用するのです。
<非制限用法を使用>
I love New York, which I visited last year.
(私はニューヨークが好きだが、ニューヨークを昨年訪れた)
I was born in 1945, when Second World War ended.
(私は1945年に生まれたが、そのとき第二次世界大戦が終わった)
また、「ジョン」のような特定の人名のときも、制限用法はNGです。ジョンは特定の人物ですので。
共通の知人に「日本のジョン」、「アメリカのジョン」、「フランスのジョン」がいる!というような特殊なケースでは、John who lives in Japanのように制限用法を使ってもOKですが。これはあくまで特殊ケース。固有名詞を使うときは基本的に、「唯一の存在」としてその人物/場所/モノを思い浮かべているのです。
非制限用法を使えないパターン
逆に、非制限用法を使えないパターンというのも存在します。
以下の関係詞が使用されているとき、非制限用法は使えません。
- what
- that
- why
- how
- but
- than
どうして?
それぞれ、下記のように考えられます。
- what: そもそも名詞を修飾しない
- that: 「あれ」「それ」と名詞を掴む働きが強い。そのため、直前の先行詞との間にカンマなど余計なものが挟まれるのを嫌う
- why: 先行詞がほぼthe reasonであるため(?)
- how: 先行詞がほぼthe wayであるため(?)
- but: 接続詞と勘違いされやすいため(?)
- than: 通常の用法でも、thanの直前でカンマが使用されることはないため(?)
カッコ付きの「?」はわたしの推測です。わかり次第追記していきます。
(もし詳しい方がいればコメント欄にてご教示ください。)
非制限用法の例文
次に、非制限用法の例文をサクッと見ていきましょう。
which
非制限用法のwhichです。
まずは先ほどの例文。先行詞がNew York(人以外)なのでwhichを使用しています。
I love New York, which I visited last year.
(私はニューヨークが好きだが、ニューヨークを昨年訪れた)
また、whichは前の文全体(あるいは一部)を先行詞とすることもできます。
They swim in winter, which I think crazy.
(彼らは冬に泳ぐが、わたしはそれをクレイジーだと思う)
「彼らは冬に泳ぐ」という前の文全体をwhichがさしています。
ちなみに、think O Cで「OをCと考える、思う」です。元の語順はthink which crazyなので、「which (=前の文の内容)をクレイジーと思う」と訳しています。
who
非制限用法のwhoです。
今回の記事で使った例文です。先行詞が3人の息子(人)なので、whoを使っています。
He has three sons, who live in Tokyo.
(彼は3人の息子がいるが、その3人の息子は東京に住んでいる)
whom
非制限用法のwhomです。
先行詞が3人の息子(人)で、目的格になっているのでwhomを使っています。
He has three sons, whom I met in Tokyo.
(彼は3人の息子がいるが、わたしはその3人の息子に東京で会った)
「目的格」というのは、要するに関係代名詞のカタマリの中でwhomが目的語の位置にきている、ということです。
元の語順はI met whom (=three sons) in Tokyo「わたしは3人の息子に東京で会った」です。目的語の位置にきているので、whoではなくwhomを使うのが正しいです。(whomは関係代名詞なので文の頭にきて、whom I met in Tokyoとなっています)
前置詞+which/whom
非制限用法の前置詞+which/whomと、where、whenのパターンです。
前置詞+whichの例文です。
先行詞はニューヨークです。I lived in New York (=in which)が前提となっています。inとwhichは離れてもOK、先行詞が「場所」なのでin which = whereも可能です。
I love New York, in which I lived.
= I love New York, which I lived in.
= I love New York, where I lived.
(わたしはニューヨークが好きだが、わたしはニューヨークに住んでいた)
次は前置詞+whomの例文です。
先行詞は3人の息子です。I gave presents to three sons (=to whom)が前提となっています。toとwhomは離れてもOKですが、離れたらwhomはwhoに変化します。(見た目上、前置詞の目的語ではなくなるので)
He has three sons, to whom I gave presents.
= He has three sons, who I gave presents to.
(彼は3人の息子がいるが、わたしはその3人の息子にプレゼントをあげた)
※前置詞の直後でwhoを使う際、必ずwhomに変化します。前置詞の後ろの単語のことを「前置詞の目的語」と呼ぶこともあります。目的語の位置で使われているので、whoがwhomに変化するという訳ですね。
名詞+前置詞+which/whomとwhose
非制限用法の名詞+前置詞+which/whomと、whoseのパターンです。
名詞+前置詞+whichとwhoseの例文です。
先行詞はニューヨークです。the mayor of New York (=the mayor of which) is famousが前提となっています。whoseに置き換えることも可能です。
I love New York, the mayor of which is famous.
= I love New York, whose mayor is famous.
(わたしはニューヨークが好きだが、その市長は有名だ)
次は名詞+前置詞+whomとwhoseの例文です。
先行詞は3人の息子です。the wives of the three sons (=the wives of whom)が前提となっています。whoseに置き換えることも可能です。
He has three sons, the wives of whom are all beautiful.
= He has three sons, whose wives are all beautiful.
(彼は3人の息子がいるが、その息子の妻たちは全員美しい)
whereとwhen
非制限用法のwhereとwhenのパターンです。関係副詞で非制限用法がOKなのはwhereとwhenのみです。制限用法と同じく、「前置詞+関係代名詞」の構造を前提としています。
<参考>関係詞副詞の使い方まとめ
whereの例文です。
先行詞はニューヨークです。I lived in New York (=in which)が前提となっています。先行詞が「場所」なのでin whichをwhereで置き換え可能なのです。
I love New York, where I lived.
= I love New York, in which I lived.
= I love New York, which I lived in.
(わたしはニューヨークが好きだが、わたしはニューヨークに住んでいた)
* 前置詞+which/whomで扱ったのと同じ例文を使っています。
whenの例文です。
先行詞は日です。I defeated him on the day (=on which)が前提となっています。先行詞が「時」なのでon whichをwhenで置き換え可能なのです。
I still remember the day, when I defeated him.
= I still remember the day, on which I defeated him.
= I still remember the day, which I defeated him on.
(わたしはいまだにその日を覚えているが、その日とはわたしが彼に打ち勝った日だ)
as
ラストは非制限用法のasです。前の文を先行詞にします。whichにも同じ用法がありました。
whichとの違いは、asのカタマリは先行詞より前に来ることも可能な点です。
(註:他には、as内で否定語を使うのはNG/which内で否定語を使うのはOK、asが主格になる時はbe動詞やseemなどしか使えない、という違いもありますが、細かすぎるので流します)
というわけで例文です。先行詞は前の文の内容です。
He didn’t listen to me, as is often the case with him.
= As is often the case with him, he didn’t listen to me.
= He didn’t listen to me, which is often the case with him.
(彼にはよくあることだが、彼はわたしの話に耳を傾けなかった)
特殊な使い方なので、慣れるためにもう一つasの例文を見ておきましょう。
He is very lazy, as his work shows.
= As his work shows, he is very lazy.
= He is very lazy, which his work shows.
(彼の仕事ぶりが見せるように、彼はとても怠惰だ)
まとめ
お疲れさまでした! 長くなったので、最後に要点だけまとめておきます。
- which, who, whom, whose, when, where, as
- 前置詞+which/whom
- 名詞+前置詞+which/whom
⇒カンマの部分に接続詞を補い、前から訳していく
⇒非制限用法での関係詞は省略不可
⇒固有名詞には原則非制限用法を使用する
<非制限用法での使用NG>
- what, that, why, how, but, than
- 「~だが、…だ」という訳が基本
- 「~」の部分で一度言い切るので、他の可能性は排除される(「4人目の息子」はいない。下図参照)
- 先行詞が固有名詞(New YorkやJohnなど)のときは、非制限用法を使うようにする。制限用法(カンマなしのフツーの関係代名詞)だと、「他に固有名詞がある」可能性を排除できないので、固有名詞に対して制限用法を使用するのは通常好ましくない。
最後までお読みくださりありがとうございました。ご不明な点などあれば質問欄にてお願いします。
※関係詞についてさらに理解を深めたい方は、ぜひこちらをお読みくださいね!
【関係代名詞as, but, than】疑似関係代名詞とは?
【関係代名詞の省略まとめ】there is~では主格でも省略可能??
コメント
[…] <参考記事>非制限用法とは? 制限用法との違い […]
[…] <参考記事>非制限用法とは? […]
He has three sons, the wives of whom are all beautiful.の whomのところはなぜwhomになるのでしょうか?気になったので教えていただきたいです。
コメントありがとうございます。
ざっくり言うと、「前置詞の直後でwhoを使うとき、必ずwhomを使わなければいけない」というルールがあるためです。
たとえば、”This is the man with whom I went there. (こちらは、私がそこへ一緒に行った男だ / the manを”with whom I went there”が修飾しています)”などが例として挙げられます。
また、関係代名詞ではなくとも、下記の例ではやはりwhomが必ず用いられます。こちらは、疑問詞のwhomです。
“By whom was the picture stolen? (誰によって、その絵は盗まれた?)”
上記の説明や、他の記事等で不明点があればぜひぜひコメント頂ければ嬉しいです(とても参考になります)。
すいません、追記です。
少し固い用語を使うと、前置詞の後ろの名詞のことを「前置詞の目的語」と言ったりもします。したがい、前置詞の直後のwhoは目的格とみなされ、whomに変化します。