今回は「ask モノ of 人」という表現について考えたいと思います。「人にモノをお願いする」という言い回しですね。
“May I ask a favor of you?”で「お願いしてもいい?」という意味になりますが、まさに「ask モノ of 人」が使われています。
どうしてofを使うの?
askでなぜofを使うのかは、ofが持つイメージに着目すればすぐ理解できます。
そして、「ask モノ of 人」型の類似表現もいくつかあるので、一緒に押さえてしまいましょう!
【なぜ?】”ask モノ of 人”型の動詞まとめ
まずは“ask モノ of 人”型の動詞まとめと、ofが使われている理由を紹介します。
- ask モノ of 人:人にモノを頼む、尋ねる
- beg モノ of 人:人にモノを求める
- expect モノ of 人:人にモノを期待する
- demand モノ of 人:人にモノを要求する
- require モノ of 人:人にモノを要求する
※ofには「所属からの分離」の意味がある
覚えられないよ…
これだけ眺めていてもムリですね。「なぜこの形になるのか?」という理由はこれから説明します。
ただ、表の表現が全て「相手からの返答を期待している」という点だけ頭の隅に置いておいてください。
「頼む」、「求める」、「期待」、「要求」…ニュアンスこそ違えど、相手からの返答を期待する表現ですね。この点を頭に入れたうえで、下記を読んでいきましょう!
前置詞ofのイメージは「所属からの分離」
先ほどの表現を理解するためには、前置詞ofのイメージをつかむ必要があります。
前置詞ofのイメージ?
前置詞ofのイメージとは、ズバリ「所属からの分離」です。
前置詞ofには、「もともと所属していたところから分離する」というニュアンスがあるんです。
実は、分離のofの意味を強調したのが、offという単語の成り立ちです。offにもやはり分離の意味合いがありますよね。
下の図がofのコアイメージです。
「A of B」という表現は、もともと所属していたBから、Aだけが分離して離れていく、というイメージを持っているんですね。
ofは「~の」と訳せることが多いですが、直訳は「BのA」ですね。これは、「Bに所属していたAを取り出している」というイメージを伴っています。
今回の「モノ of 人」もまさに同じです。人からモノが分離して出てくるというイメージなんです。
たとえばMay I ask a favor of you.という文で考えてみましょう。
直訳すると「わたしは、あなたにご好意をお願いしてもいいですか?」です。
「モノ of 人」に当てはめて考えると、
- モノ= a favor(ご好意)
- 人 = you(あなた)
です。
「主語(わたし)」は、
「人(あなた)」から、「モノ(ご好意)」が返答されること
を期待しているんです。
図で見るとこんな感じです。
「モノ(ご好意)」は相手から分離してくるものですね。この「分離」をofで表現したわけです
「モノ(ご好意)が人(あなた)から分離するよう頼んでもいい?」
これがask モノ of youの正体なのですね。
そして、begやexpectといったほかの表現でも同じです。
ofは「分離」の意味で捉えてください。
その証拠に、
同じく「分離」の意味を持つfromで、ofを置き換え可能なことも多いのです。
* ニュアンスは変わりますが、「ask モノ of 人」型の動詞は、全て「ask モノ from 人」の形も持っています。
ofには「所属からの分離」の意味があるという点を頭に置いたうえで、一つ一つの表現をチェックしていきましょう。
※なお、前置詞ofは他にも様々な意味へと派生していきます。前置詞がわかると、見える世界が変わります。下記には前置詞ofの詳しい説明があるので、よろしければぜひお読みくださいね。5分程度で読めます。
参考記事:前置詞ofをイメージで理解する
ask モノ of 人
まずはask モノ of 人からいきましょう。「人にモノを頼む、尋ねる」という意味です。
例文はコチラ。ofに「分離」の意味があることを意識してください。
May I ask a favor of you?
(お願いがあるのですが
≒イメージ:わたしは、あなたから分離するご好意をお願いしてもいいでしょうか?)
なお、ややこしいですが、ask 人 for モノで「人にモノを頼む」という表現もあります。
forは「~へ」という矢印の方向性を意味する前置詞ですので、
for モノ(モノに向かって)という形になっているのですね。
I asked him for money.
(わたしは彼にお金をくれるよう頼んだ)
beg モノ of 人
beg モノ of 人は、「人にモノを求める」という意味になります。
「モノ」を「人」から分離して、こちらへ寄こすよう求めているわけですね。
例文はコチラです。
He begged forgiveness of her.
(彼は彼女に許しを求めた
≒イメージ:彼は、彼女から分離する許しを求めた)
expect モノ of 人
expect モノ of 人で「人にモノを期待する」という意味になります。
「モノ」が「人」から分離することを期待するわけですね。
例文はコチラ。
He expects a lot of his son.
(彼は、彼の息子を大いに期待している
≒イメージ:彼は、彼の息子から分離する多くのコトを期待した)
demand モノ of 人
demand モノ of 人で「人にモノを要求する」という意味になります。
「モノ」が「人」から分離することを要求するわけですね。
例文はコチラ。
He demanded an apology of you.
(彼は、君の謝罪を要求した
≒イメージ:彼は、君から分離する謝罪を要求した)
require モノ of 人
require モノ of 人で「人にモノを要求する」という意味になります。
「モノ」が「人」から分離することを要求するわけですね。
例文はコチラ。
Courage is required of everyone.
(勇気が皆に求められている
≒イメージ:勇気が、みなから分離することが要求されている)
この場合、requireは受動態で疲れることが多いです。
require courage of everyone(皆から分離する勇気を求める)のcourageが主語へ移動し、受動態になったわけですね。
また、demandとrequireの違いは下記のとおりです。
- demand:〇〇が何かを強い態度で相手に要求する
- require:〇〇が何かを必要としている
という違いがあります。
おわりに
いかがでしたか?
一見意味不明なofも、「所属からの分離」というニュアンスで理解できますね。また、このofの使い方に、相手からの返答を期待する表現が多いのも納得です。
※コチラではask a favor of youに似た表現をまとめています
【盲点!】第4文型⇔第3文型 書き換えの落とし穴とは?【make O1 O2⇔make O2 for O1】
※コチラでは前置詞ofが持つ様々なイメージ・意味をまとめています
コメント
[…] 過去記事:May I ask a favor of you?でofを使う理由 […]
[…] May I ask a favor of you?でofを使う理由 […]