今回は「勝つ」という単語の違いについてまとめました。
たとえば、“How to Win Friends and Influence People”という本があるのですが、これを「友達に勝つ方法~」とするのは誤訳です。実はコレ、winの正しい用法がわかっていないと、誤訳してしまうのですね。
win/beat/defeat「勝つ」という単語の違いを、イメージと共にサクッと見ていきましょう。
win/beat/defeat「勝つ」の違い
win/beat/defeat「勝つ」の違いは下記の通りです。
- 「試合や大会に」勝つ
- 「賞などを」勝ち取る
⇒活用はwin-won-won
<beat: 後ろに人/相手>
- 「相手に」勝つ
- 「相手を」打ち負かす
⇒「beat: 叩く」イメージ
⇒活用はbeat-beat-beat
<defeat: 後ろに人/相手>
- beatとほぼ同じだが、書き言葉で好まれる(フォーマルな感じの表現)
- 「相手」の部分には、「国」のような大きな団体が来ることも多い
⇒「de: 離れて」、「feat: 作る」ので、「何もできないよう打ち負かす」イメージ
⇒活用はdefeated-defeated-defeated
大きな違いは後ろにくる単語(目的語の部分の単語)です。
ざっくり言うと、
- 後ろに「モノ」がくるならwin
- 後ろに「人/相手」がくるならbeat, defeat
です。
例文付きで見ていきましょう。
win
まずはwinからです。
例文を見てみましょう。後ろに「試合/大会/賞」といったモノが来ている点に注目です。
He won the match yesterday.
(彼は昨日その試合に勝った)
The politician won the election again.
(その政治家は選挙に再び勝った)
Donald won the first prize.
(ドナルドは1等賞を勝ち取った)
He has won the lottery.
(彼は宝くじに当たった ≒当たりを勝ち取った/獲得した)
beat/defeat
beat/defeatです。defeatの方があらたまった印象があります。
例文を見てみましょう。後ろに「人/国/チーム」といったモノ (対戦相手)が来ている点に注目です。
She narrowly/easily beat me at chess.
(彼女はぎりぎりで/簡単に 私にチェスで勝った)
The country finally beat inflation.
(その国はとうとうインフレに打ち勝った)
China was beaten in the final 3-1.
(中国は決勝で3-1で負けた ≒中国は打ち負かされた)
I’m beaten.
(参った ≒私は打ち負かされている)
The army finally defeated Napoleon.
(その軍隊はとうとうナポレオンを負かした)
Our school defeated a top-seeded team by 5 points.
(わが校は第一シードを5点差で負かした)
なお、beat/defeatは語源から考えると、後ろに「人/国/チーム」といったモノ (対戦相手)が来る理由が理解しやすいです。
まず、beatには「打つ/叩く」という意味があります。「ビートを刻む」という日本語からも感覚的に理解しやすいと思います。「ドンドコと何度も相手を打つ」イメージです。
そのため、「対戦相手を叩く」というイメージで、後ろに「人/国/チーム」といったモノ (対戦相手)が来るのですね。
また、defeatは「de: 離れて」、「feat: 作る」と分解して考えることが出来ます。
「作ることから離す⇒何もできないくらい打ち負かす」というイメージです。このことから、やはり後ろに「人/国/チーム」といったモノ (対戦相手)が来るのですね。
“How to Win Friends and Influence People”の意味とは?
ここで、冒頭の本のタイトル“How to Win Friends and Influence People”を改めて見てみましょう。
“Win Friends”の部分を「友達に勝つ」と訳すのは誤りなのですね。
なぜなら、Winの後ろには「試合/大会/賞」といったモノが来なければならないからです。
つまり、Winの後ろで使われていることから、ここではFriendsを「賞」のようなモノとして捉えなければいけないのです。
上記のことを踏まえると、“How to Win Friends and Influence People”は「どうやって友達を勝ち取り、人々に影響を与えるか」といった意味に捉えるのが正しいでしょう。
意外と盲点なので、win/beat/defeatの用法には注意してくださいね!
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