今回は最上級の基礎についてまとめてみました。
とりあえずtheを付けておけば
いいんじゃないの?
実は、theを付けないパターンもあって、そこが試験で狙われたりもします。
最上級の基礎について、これを機会に一度おさらいしてみましょう!
最上級the -est/mostの基礎まとめ【theが付かないのは…】
まずはザクっと全体像を示します。最上級の基本的なルールは下記の通りです。
<原則>
- the + -est /the most + 原級の形をとる
- 三つ以上のものを比べる場合に使う(二つのものを比べる場合には使わない)
- in/ofを伴う。inの後ろは単数名詞、ofの後ろは複数名詞が原則
<例外:theを付けない場合>
- 副詞は、theを付けても/付けなくても良い(後ろにinやofのカタマリを伴う場合に付きやすい。また、アメリカ英語ではtheを付ける傾向)
- 形容詞の叙述用法のときは、theを付けても/付けなくても良い(後ろに名詞が省略されているときはtheを付ける)
- 同一の人/モノの中での比較のときは、theを付けない
- 程度の高さを漠然と示すときは、theを付けないことがある(絶対最上級と呼ぶ)
- 一部定型表現ではtheを付けないことがある
<theの付かない定型表現>
- at (the) most:多くとも
- at (the) least:少なくとも
- at (the) best:良くても
- at (the) worst:最悪の場合でも
- at one’s best:最高の状態で
- at one’s worst:最悪の状態で
いまいちピンとこない…かな?
例文付きで一つずつ見ていきましょう。
まずは原則を押さえ、その後theが付かないパターンを見ていきます。
最上級の原則
まずは原則を説明します。先ほどのまとめから抜粋すると、下記のとおりです。
- the + -est /the most + 原級の形をとる
- 三つ以上のものを比べる場合に使う(二つのものを比べる場合には使わない)
- in/ofを伴う。inの後ろは単数名詞、ofの後ろは複数名詞が原則
例文で見てみましょう。
This is the tallest building in this country.
(これは、この国で最も高い建物だ)
tall(高い)という意味の形容詞が、building(建物)という名詞を修飾しているのが基本構造です。
そして、このbuildingはただ「高い」だけじゃなくて、「最も高い」のです。「最も高い」と言いたいときは、頭にtheを付けて、tallの語尾に-estを付け足します。その結果、the tallestとなったわけです。
ちなみにtheをわざわざ付けるのは、「最も高い」と表現した時点で、buildingが「特定の建物」になるからです。みんなが指差せるような名詞には、theを付けるのが基本なのです。
なるほど!
あと、見落としがちですが、もう一つ気を付けてほしいのが、in this country(この国で)というカタマリです。
このカタマリがあることで、「(この国にある数千、数万のビルの中で)最も高い」というニュアンスが出るんですね。
仮にin this countryというカタマリがないと、単に「最も高い」と言っていることになり、「なにと比べて最も高いの?」というツッコミを受けることになります。
このように、最上級では、比較対象となる人やモノを持ってくる必要があるんですね。しかも、比較対象は複数必要です。
どうして複数個必要なの?
なぜなら、二つだけの比較なら、比較級(taller)を使えば済むからです。
ビルAとビルBの二つだけを比べるとして、
「ビルAが最も高い」とは日本語でも言いませんよね。
「ビルAの方が高い」という表現が自然です。
そのため、最上級の表現では、三つ以上のものを比べる必要があるということです。
なるほど!
最後にthe most+原級の例文も紹介して、このパートの説明は終わりにします。また、ofの後ろでは複数名詞が使用されている点にも注目です。
This is the most beautiful building of the four.
(これは、その4つのうちで最も美しい建物だ)
beautiful(美しい)という単語が二音節以上(要するに長い)ので、-estではなくmostを使ってます。
theが付かない最上級表現とは
「最上級表現ではtheを付ける!」ということは学校で習ったかと思いますが、
実は、theを付けないパターンも結構あるんです。
その代表的なものをそれぞれ紹介したいと思います。
副詞の場合
まず、副詞の場合はtheを付けても/付けなくてもどちらでもOKです。theが付くのは、「みんなが指差せるような名詞だから」という感覚があるのですね。
後ろにinやofのカタマリがある場合(具体的な比較対象がある場合)、theが付く傾向にあります。あとはアメリカ英語だと、theが付くことが多いようです。
(日本人からしたら、全部theを付けてもらった方がわかりやすくてありがたい…)
というわけで副詞の最上級の例文です。
theが付く場合と付かない場合を両方紹介します。carefully(注意深く)という副詞が最上級になっています。
She drives most carefully in his family.
= She drives the most carefully in his family.
(彼の家族の中で、彼女が最も注意深く運転をする)
どうして副詞だと
theが付かないことがあるの?
先ほどの例文、the tallest buildingに
theを付けた理由を思い出してください。
みんなが指差せる特定の名詞だから
そう。theは名詞とセットで使われるものなんですね。
今回のthe most carefullyというのは、名詞とセットにはなっていないですね。carefullyという副詞とセットになっています。
本来theが付かない方が普通のハズなんです。
が、使っているうちに「最上級だしtheを付けよう」という勘違いが優勢になったのかもしれません。(註:ここら辺は、どういう発想・経緯で副詞にtheを付けるのが一般的になったのか筆者は正確に把握していませんが…)
というわけで、
副詞では最上級でもtheを付けないのが一応基本だが、theが付くことも結構ある
という風に覚えておいてください。
ちなみに、副詞に付くtheの品詞は副詞なんですね。辞書の隅っこに小さく載っています。名詞に付かない以上、本来の定冠詞としての機能とは区別されているということです。
形容詞の叙述用法の場合
形容詞の叙述用法のときも、theを付けても/付けなくてもどちらでもOKです。
叙述用法ってなに?
ものすごくざっくり言うと、
「形容詞→名詞」の語順になっているのが限定用法、
「名詞←形容詞」の語順になっているのが叙述用法です。
例文1は「large→apple」という語順なので限定用法、
例文2は「sea←calm」という語順なので叙述用法です。
- I found a large apple. (わたしは大きなリンゴを見つけた)
- The sea was calm. (海は穏やかだった)
今回の話の流れでは、SVCの構文が形容詞の叙述用法だ、くらいの理解でOKです。be動詞を間に挟むことが多いですね。
さて、叙述用法の最上級では、theを付けても付けなくても良い、という話でした。
例文で見てみましょう。まずはtheがないパターン。「一番明白→極めて明白」と考えます。
The reason is plainest.
(その理由は極めて明白だ
= 直訳:その理由は最も明白だ)
次はtheがあるパターンです。
He is the tallest of all boys.
(彼は全ての少年の中で、最も背が高い)
inやofのように、「~の中で」と他に比較対象があったり、
後ろに名詞が省略されていることが明らかなときは、
theを付ける傾向があります。
今回であれば、of all boys(全ての少年の中で)という比較対象があり、
かつ、tallestの後ろに名詞が省略されている可能性が高いわけです。
(省略前は、He is the tallest boy~という文なんですね)
これってよくよく考えると、最上級の原則と通ずるところがあります。
最初の「原則」で扱った例文を見てください。
This is the tallest building in this country.
(これは、この国で最も高い建物だ)
tallestの後ろにbuildingという名詞が置かれていますし、
in this countryのように比較対象も明示されています。
つまり、形容詞の叙述用法のときは、
最上級の原則に近い使われ方をしていればtheがつきやすい
ということですね。
同一の人/モノの中で比較するとき
同一の人/モノの中での比較のときは、theを付けません。
付けても付けなくても良い、ということではなく、theを付けるのは常にNGです。
絶対付けない、という点が他のルールとの決定的な違いですね。
例文で見てみましょう。
This lake is deepest here.
(この池は、ここが最も深い)
どうしてtheが付かないの?
先ほどの叙述用法での話を思い出してください。次の場合、叙述用法でもtheが付きやすいのでした。
- inやofのように、「~の中で」と他に比較対象がある場合
- 後ろに名詞が省略されていることが明らかなとき
さて、今回はどうでしょう?
- 同じ人/モノの中の比較なので、他に比較対象はない
- 後ろに名詞の省略はない
特に二点目に注目です。
仮に名詞の省略があるとすれば、lakeが省略されているわけですが、lakeを二度繰り返すとくどいし、そもそも意味も通りづらくなります。
This lake is deepest lake here.
(この池は、この場所が最も深い池だ)←??
つまり、deepestの後に「名詞の省略が起きていない=名詞など最初からない」と考えるのが自然なんですね。
やはり、最上級の原則とは、少し離れた使い方をされているのでtheが付かない、という理解ができそうです。
また、同一の人の比較をしている場合の例文を紹介しておきます。
I feel happiest when I am playing the piano.
(ピアノを弾いているとき、わたしは最も幸せを感じる)
走っているとき、ご飯を食べているとき、寝ているとき…色々あるけど、ピアノを弾いているときが一番シアワセ!
そんな文ですね。
程度の高さを漠然と示すとき
比較対象を明確にせず、程度の高さを漠然と示すとき、theを付けずに最上級表現を用いることがあります。
この使用法を、絶対最上級という文法用語で呼んだりもします。絶対最上級では、「最も」ではなく、「とても」という訳になります。veryより堅い表現です。
日本語でも「アイツは最高に良い奴だぜ!」というとき、「アイツはとても良い奴だぜ!」という意味を示しているはずです。「他と比べて最高」というよりは、「とても」という意味で使っていますよね。そのため、「特定の名詞を指している感」が薄れ、theが不要となるのですね。
それでは例文です。単数形の名詞では、a most+原級+名詞の形で使います。
He is a most pleasant man.
(彼はとても感じのいい男だ)
複数形の名詞ではmost+原級+名詞の形で使います。
They are most pleasant people.
(彼はとても感じのいい男だ)
不可算名詞の場合は、theが付くのが普通です。
I would like to express the deepest gratitude for your help.
(わたしは、君の助けに心からの感謝を示したい
= 直訳:わたしは、君の助けに最も深い感謝を示したい)
定型表現
これでラストです。一部の表現は、慣用的にtheが抜け落ちています。(theを付ける場合もありますが)
<theの付かない定型表現>
- at (the) most:多くとも
- at (the) least:少なくとも
- at (the) best:良くても
- at (the) worst:最悪の場合でも
- at one’s best:最高の状態で
- at one’s worst:最悪の状態で
最後の二つは所有格付きの表現なので、すこし毛色が違うかもしれませんが、例文付きで紹介しておきます。
The cherry blossoms are at their best now.
(サクラの花は、いまが最高の状態だ)
His illness is at its worst now.
(彼の病気は、いまが最悪の状態だ)
なお、ここでatが使われている感覚は、【本質から理解!】前置詞atのイメージとはを読めば完全に理解できます。5分くらいで読めるのでぜひ!
まとめ
みなさま、最後までお読みくださりありがとうございます&お疲れさまでした。
「原則theが付くよ!」
「theが付いても/付かなくてもどっちもOKだよ!」
「theは付けたらNGだよ!」
と、さまざまなパターンがあり、正直「???」という感じだと思います。
ただ、最上級の原則を押さえておけば、少しは理解が楽になります。
特に「なぜtheを付けるのか?」→「特定の名詞の前だから!」
という部分ですね。
原則を理解しておけば、応用にも対応しやすくなる、というのはどの分野でも同じです。今回の記事が、みなさんの知識の整理につながったのであればうれしいです。原則を押さえたうえで、もう一度冒頭のまとめを見返してみると、さらに知識が定着するはずです。
コメント
[…] 【theを付けない場合とは?】最上級の基礎まとめ […]