今回は比較級と最上級の強調表現についてまとめたいと思います。
〇〇のときは、by farを使えるけど、
△△のときは、by farがダメ…
よくワカラン!!
細かすぎて発狂してしまう人が多数発生するのが、
比較級と最上級の強調表現です。
今回、強調表現についてわかりやすくまとめましたので、
これを機会にチェックしてくださいね。
全体像まとめ
まずは全体像を見てみましょう。比較級と最上級で表を分けて作りました。
比較級 | 最上級 | |
by far (とても) | △ | 〇 |
far (とても) | 〇 | × |
far and away (とても) | 〇 | 〇 |
much (とても) | 〇 | 〇 |
very (とても) | × | △ |
a lot, lots (とても) | △ | × |
a great deal, a good deal (とても) | 〇 | × |
considerably (とても) | 〇 | × |
even (いっそう) | 〇 | × |
still (いっそう) | 〇 | × |
yet (いっそう) | 〇 | 〇 |
somewhat (やや) | 〇 | × |
rather (やや) | 〇 | × |
a bit, a little bit (少し) | 〇 | × |
記号は、
〇→使用OK
△→条件付きでOK
×→使用NG
です。
△については、「一定の条件を満たせば使えるが、それ以外では使えないこともある」です。
強調表現は、「強調表現+比較級(最上級)」の語順が基本なんですが、場合によってはこの語順が少し変わったりするんですね。それが厄介なのです。
下記で個別に詳しく説明します。
個別解説【by far, much…】
さて、個別解説に入ります。単語ごとに見ていきます。
by far, far, far and away
まずはby far, far, far and awayです。farには「遠くに」という意味があるので、それが強調表現に一役買っているのです。
(ちなみに強調の度合はfar and away > farです。awayが付く分強くなります)
ただ、by farは使えるケース/使えないケースのどちらもある、というなんともメンドウな存在。
ということで、by farについて少し説明しておきます。
by farは最上級では基本使用OKですが、比較級では条件付きで使用OK
ということになっています。
比較級では、
- theが付く比較表現の場合
- 比較級の後ろに置かれた場合
にby farも使用OKなんですね。
まずは最上級の例文から。強調表現+最上級という、基本通りの語順になっています。
This is by far the most beautiful building in this country.
= This is far and away the most beautiful building in this country.
(これは、この国で断然一番美しい建物です)
次に比較級。
by farの時のみ、theが付く比較表現 or 強調表現が比較級の後ろに置かれている点に注目です。*
She is by far the taller of the two.
(二人のうち、彼女の方がずっと背が高い)
She is taller by far than I.
= She is far taller than I.
= She is far and away taller than I.
(彼女は、わたしよりずっと背が高い)
* 比較級でも、by farを普通に前に置くパターンも「なくはない」ようです。参考書によっても書かれていることが微妙に違うのですが、本記事は『ロイヤル英文法 改訂新版』や『ジーニアス英和辞典 第五版』の記載内容をチェックの上、執筆しています。
というわけで、farが付く強調表現は、
by farを比較級に使うときだけ要注意!と覚えてください。
あとは強調表現として普通に使ってしまってOKです。
much, very
お次はmuchとveryです。
muchは比較級、最上級のどちらにも強調表現として使用OKです。これはラクですね。
問題はvery。比較級では使えないうえに、最上級でも条件付きでの使用…というなんとも問題児なのです。
というわけで、veryについて少し解説を加えます。
veryを最上級で使う際は、the+very+最上級という語順になります。
比較級/や最上級の強調表現としては、イレギュラーな語順です。
(強調のfarは、far+the+最上級という通常の語順でしたね)
それでは、muchやveryを使った例文です。
まずは最上級。veryの語順に注意してください。
This is much the most beautiful building in this country.
= This is the very most beautiful building in this country.
(これは、この国で断然一番美しい建物です)
次に比較級。veryを使うことはできません。muchのみです。
強調表現+比較級という通常通りの語順です。
She is much taller than I.
(彼女は、わたしよりずっと背が高い)
muchは全部OKだが、
veryは最上級にしか使えず、かつ語順に注意、
ということですね。
a lot, lots
a lotとlotsは、比較級を強調します。どちらかといえば、lotsの方がくだけた表現です。
最上級の強調には使われません。
(ちなみに、これから取り上げるものは、全て最上級の強調には使われません)
このa lot、lotsですが、比較級の強調でも、
場合によっては使えないパターンがあるんです。
どんなときにダメなの?
比較級+名詞の語順になっているときはa lot 、lotsを使えません。
そうでないときは、むしろ会話で積極的に使われる表現なのですが、
比較級の直後に名詞があると、使えなくなってしまうんですね。
例文で見てみましょう。まずは使用OKなパターン。tallerの直後に名詞はきていません。
She is a lot taller than I.
= She is lots taller than I.
(彼女は、わたしよりずっと背が高い)
次は使用NGなパターン。tallerの直後に名詞がきています。farやmuchならOKです。
She is a a lot better mother than she was 10 years ago. (NG!)
She is a lots better mother than she was 10 years ago. (NG!)
She is a much better mother than she was 10 years ago.
= She is a far better mother than she was 10 years ago.
= She is a far and away better mother than she was 10 years ago.
(彼女はいま、10年前よりも、ずっと良い母親だ)
a better mother(よりよい母親)がもともとある単語なわけですが、
そこへa lotをムリヤリ入れると、a a lot better motherとなってしまいますね。
aが二つ重なってヘンな感じです。
そのためa lot 、lotsは、比較級+名詞のパターンで使用されないのかもしれません。
(これは筆者の私見です。誰か詳しい方がいたらご教示ください)
いずれにせよ、直後に名詞がある場合はa lot、lots使用不可と覚えておいてください。
a great deal, a good deal, considerably
a great deal, a good deal, considerablyは比較級を強調します。最上級は強調しません。
全て、元々は「たくさん、かなり」という意味を持つ表現ですね。そのため、比較級の強調に使われます。
ありがたいことに、a great deal, a good deal, considerablyは、
比較級には普通に使えます。最上級に使わないよう注意すればOKです。
例文で見てみましょう。farなどと同じような使い方をされていますね。
She is a great deal taller than I.
= She is a good deal taller than I.
= She is considerably taller than I.
(彼女は、わたしよりずっと背が高い)
even, still, yet
even, still, yetは比較級を強調します。yetを除き、evenとstillは最上級を強調しません。
そして、これまでと意味合いが少し違うので注意してください。
どんなふうに違うの?
これらはすべて、「いっそう」という意味を持ちます。
たとえば、farとevenを比べてみましょう。
She is far taller than I.
(彼女は、わたしよりずっと背が高い)
She is even taller than I.
(彼女は、わたしよりいっそう背が高い)
farは、「彼女」と「わたし」の背丈の差を単に強調しているだけなんです。
背の高さにスゴイ違いがあるよ、と。
一方のevenは違います。「わたし」も結構背が高いのに、「彼女」はいっそう背が高い。
そもそもわたしの背も高いのに、彼女はもっと高いよ、と言っているのです。
つまり、そもそも「わたし」の背が高いことが前提になっているんですね。
それにプラスして、「彼女」はもっと高い。そういう意味合いになります。
そして、evenと同様の使われ方をするのが、stillやyetです。
(yetはあまり見ない気がします)
基本は、比較級の前に置かれます。例文はコチラ。
She is even taller than I.
= She is still taller than I.
= She is yet taller than I.
(彼女は、わたしよりいっそう背が高い)
ちなみに、stillとyetに限っては、比較級の後ろから使われることもあります。
例文のbetter yer、better stillは「いっそのこと≒いっそう良いことには」という意味を持ちます。
You can call me, better yet, you can come and see me.
= You can call me, better yet, you can come and see me.
(君はわたしに電話をしてもよいが、いっそのこと、会いに来た方が良い)
また、yetが最上級を強める場合、やはり最上級の後ろから使用されます。
This is the greatestbook yet written.
(これは、いままで書かれた最高の本だ)
somewhat, rather
somewhat, ratherは比較級を強調します。最上級は強調しません。
意味は「いくぶん、やや」です。
例文はコチラ。
She is somewhat taller than I.
= She is rather taller than I.
(彼女は、わたしよりいくぶん背が高い)
a bit, a little bit
a bit, a little bitは比較級を強調します。最上級は強調しません。
意味は「少し」です。
例文はコチラ。
She is a bit taller than I.
= She is a little bit taller than I.
(彼女は、わたしより少し背が高い)
なお、比較級の後ろに名詞を伴う場合は、
a bitとa little bitを使うことはできません。
(a lotやlotsと同じですね)
これはそもそも、a bit+形容詞+名詞(a little bit+形容詞+名詞)の形で使えないためです。
一応NGパターンの文も具体的に示しておきます。
betterの後ろにmotherという名詞がきている点がポイントです。
She is a a better better mother than she was 10 years ago. (NG!)
She is a a little bit better mother than she was 10 years ago. (NG!)
まとめ
いかがでしたか? 長かったですね。笑
ポイントを改めてまとめましょう。
まずは一覧表です。
比較級 | 最上級 | |
by far (とても) | △ | 〇 |
far (とても) | 〇 | × |
far and away (とても) | 〇 | 〇 |
much (とても) | 〇 | 〇 |
very (とても) | × | △ |
a lot, lots (とても) | △ | × |
a great deal, a good deal (とても) | 〇 | × |
considerably (とても) | 〇 | × |
even (いっそう) | 〇 | × |
still (いっそう) | 〇 | × |
yet (いっそう) | 〇 | 〇 |
somewhat (やや) | 〇 | × |
rather (やや) | 〇 | × |
a bit, a little bit (少し) | 〇 | × |
次に注意すべきポイントまとめです。
<比較級と最上級に使用可能な単語>
- by far, far and away:比較級のby farの時のみtheが付く比較表現 or 強調表現が比較級の後ろに置かれる
- much, very:muchは全てOKだが、veryは最上級にしか使えず、語順もthe+very+最上級となる
<比較級にのみ使用可能な単語>
- far: 比較級で使用
- a lot, lots:比較級の直後に名詞がある場合は使用不可
- a great deal, a good deal, considerably:特になし。比較級の前で使用可能
- even, still, yet:「いっそう」という意味を持つ。stillとyetのみ、比較級の前後どちらでも使用される
- somewhat, rather:「いくぶん、やや」という意味を持つ。比較級の前で使用可能
- a bit, a little bit:「少し」という意味を持つ。比較級の直後に名詞がある場合は使用不可
一度で覚えるのはなかなか難しいですが、
今後、比較級や最上級の強調表現に出会うたび、
「そういえばこれはOKだったな/NGだったな」と思い出せばいいのかなと思います。
あとは何度も音読です。
感覚的に組み合わせの善し悪しがわかるようになります。
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