今回はso~that…の盲点について取り上げてみたいと思います。
so~that…というと、反射的に「とても~なので…」と訳す方が多いのではないでしょうか。
もちろんこれが正しいこともあるのですが、これだけだと対応できない場合というのが存在します。
一体それは何なのか? so~that…の本質を理解して、一つ上のステップにあがっていきましょう!
so~that…は「とても~なので…だ」ではない?
まずは下記の例文を見てください。
so~that…を「とても~なので…だ」と訳せば、特に問題なく理解できると思います。
I was so tired that I couldn’t finish my homework.
(私はとても疲れていたので、宿題を終わらせることが出来なかった)
一方、下記の例文はどうでしょう。「とても~なので…だ」とすると、意味が通らないことに気づくと思います。
I was not so tired that I couldn’t finish my homework.
(×:私はとても疲れていなかったので、宿題を終わらせることが出来なかった)
この例から、so~that…を「とても~なので…だ」と機械的に訳せばうまくいくわけではないということがわかると思います。
so~that…の本当の意味
では、so~that…の本質的な意味とはなんなのでしょうか?
基本パターン
まずは一番最初の例文を元に考えてみましょう。
I was so tired that I couldn’t finish my homework.
(私はとても疲れていたので、宿題を終わらせることが出来なかった)
この文は、
- I was so tired
- that I couldn’t finish my homework
と、前半/後半に分けて考えることが出来ます。
前半の”I was so tired”は、「わたしはそんなに/とても疲れていた」という意味です。soには「そんなに/とても」という意味がありますよね。
すると、読者は「『そんなに/とても』ってどのくらい? 具体的にはどのくらい疲れてたってコトなの?」と疑問に感じるわけですね。
そして、その疑問に答えるのが後半です。
“that I couldn’t finish my homework”で、「宿題を終えられなかったくらいだよ」と言っています。ここで、「どのくらい疲れていたのか」に対する答えを示しているのです。
つまり、so~that…の文を先頭から読んでいくときの頭の働きは、下記のイメージです。
- 「so~: そんなに/とても疲れていた」⇒「それって、具体的にはどのくらい疲れていたの?」
- 「that…: …してしまうくらい疲れていた」⇒「具体的にどのくらい疲れていたのかわかった!」
応用パターン
さて、上記で確認したso~that…の頭の働きに沿って、応用パターンを見ていきましょう。
下記は先ほど誤訳してしまった例文です。
I was not so tired that I couldn’t finish my homework.
(×:私はとても疲れていなかったので、宿題を終わらせることが出来なかった)
これを正しく訳すとどうなるのか?
まずは前半部分から見ていきます。
“I was not so tired”と、否定文になっているので、「私はそんなに疲れていなかった」と理解できます。
次に後半部分です。ここでは、前半部分に対する「どのくらい」が具体的に示されているのでしたね。
つまり、”that I couldn’t finish my homework”は、「宿題を終えられないくらい」と理解することが出来ます。
このようにして、前半部分と後半部分の理解を組み合わせると、下記の通り和訳することが出来ます。
- 前半:私はそんなに疲れていなかった
- 後半:宿題を終えられないくらい
- 和訳:私は、宿題を終えられないほど、疲れていたわけではなかった
so~that…には「結果・程度」の2つの意味がある
上記で見てきたように、so~that…の訳し方は大きく2パターン存在するのです。
1つが「とても~なので…だ」というものです。文法用語を使うと、これは「結果」という意味に分類されます。
「とても~なので、(その結果)…だ」というイメージです。文の頭から訳していくのがポイントです。
もう1つが「…するほど~する」というものです。文法用語を使うと、これは「程度」という意味に分類されます。
「とても~だ、具体的には…であるくらい(程度)」というイメージです。先ほど「基本パターン/応用パターン」で説明した頭の働きは、「程度」のイメージに近いです。
和訳問題では、”…”と”~”の位置を逆にして訳しておいた方が良いです。ただ、和訳問題でなければ、「そんなに~だ(どのくらい?) ⇒ …であるくらい」と、英文の語順通り理解していくのが良いでしょう。
前半部分が肯定文であれば、「結果/程度」どちらの和訳でも処理できます。下記の例文を見てもわかる通り、意味は自然ですよね。
I was so tired that I couldn’t finish my homework.
(結果:私はとても疲れていたので、宿題を終わらせることが出来なかった)
(程度:私は、宿題を終えられないほど、疲れていた)
一方、前半部分が否定文であれば、原則「程度」の和訳で処理します。「結果」の和訳で処理すると、意味がおかしくなってしまうからです。
I was not so tired that I couldn’t finish my homework.
(×結果:私はとても疲れていなかったので、宿題を終わらせることが出来なかった)
(〇程度:私は、宿題を終えられないほど、疲れていたわけではなかった)
というわけで個人的には、so~that…は、常に「程度」の意味で捉えることをおススメしています。
理由としては、
- 「so~: とても~ (具体的にはどのくらい?) ⇒ that…: (具体的には)…くらい」と文頭から意味を理解する方が、ネイティブの頭の働きに近い
- 肯定文/否定文のどちらにも対応できる
ことが挙げられます。
「学校で習った訳し方と違う…本当に大丈夫?」という方は、お手元の辞書の”so~that…”の項を調べてみてください。似たような記述があるはずです。そして、これがso~that…の本質的な理解です。
※私は「とても~なので…」という結果の訳を機械的に習った記憶しかないです…残念ながら
たとえば、オーレックス英和辞典 第2版新装版には次のような記述があります。個人的にはこれが一番わかりやすい気がします。
やはり「程度」の訳が通用することがわかると思います。
I was so tired that I couldn’t keep my eyes open.
(とても疲れていたので目を開けていられなかった)
「目を開けていられないほど疲れていた」と後ろから訳すことも可能。that以下が否定文の時は、このように「程度」の意味に訳す方が自然なことが多い
The lake was not so cold that we could not swim in it.
(湖は泳げないほど冷たいわけではなかった)
主節が否定文の場合も「程度」を表す。前から訳すと意味に矛盾が生じるので後ろから訳す
オーレックスは、(ジーニアスなどと比べると)持っている人がやや少ない印象ですが、くだけた&よくまとまった説明が多いので、1冊手元に置いておく価値があります。
なお、お買い求めの際は、必ず最新版(第2版です)を入手してくださいね。
まとめ
いかがでしたか? 以上で見てきたことを少しまとめると、下記のようになります。
- so~that…は「結果」「程度」の二つの訳がある
- 「結果」:とても~なので…する(肯定文のとき)
- 「程度」:…するほど、~だ(肯定文/否定文のとき)
- いずれの訳も「とても~(具体的にはどのくらい?) ⇒ (具体的には)…するくらい」という頭の働きを意識する
- ①肯定文/否定文のどちらにも対応可、②ネイティブの頭の働きに近いので、常に「程度」のつもりで英文を読むのがおススメ
不定点等あればコメント欄までお願いします。
so thatは、今回取り上げた”so~that…”の他にも、
- ~so that…
- ~, so that…
といったパターンがあり非常に紛らわしいです。
これらの意味の違いは下記の記事にまとめてあるので、ご存知ない方はぜひお読みくださいね。
【長文読解に必須!】3つのso thatとは?【意味/訳/違い】
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