【わかる受動態】”spoken to by a stranger” -前置詞が続く理由

文型(動詞・助動詞・受動態)

 

今回のテーマは受動態です。

 

下記の例文で、なぜ”spoken to by a stranger”と、”to by”のように前置詞が続くのでしょうか。

I was spoken to by a stranger.

(私は見知らぬ人によって話しかけられた)

 

文法ミスじゃないの?

 

いえ、違います。実はこれ、完全に正しい文なのですね。

 

よく、”I was spoken by a stranger.”と”to”を抜かしてしまうのですが、”to”は必ず入れなければいけません。

 

一体どういうことなのか? わかりやすく確認していきましょう!

 

能動態⇒受動態の作り方

まずは能動態⇒受動態の作り方を確認してみましょう。ちなみに、能動態とは「~する」といういわゆる普通の文、受動態とは「~される」といういわゆる受け身の文のことです。

 

能動態⇒受動態の作り方
  1. O(~を/に)をS(~は)に移動する
  2. V(~する)をbe Vp.p.(~される)にする
  3. S(~は)をby O(~によって)に移動する
  4. 残りそのまま

 

たとえば下記の能動態の文を受動態にすることを考えてみましょう。

能動態:They chased the dog yesterday.

(能動態:彼らはその犬を昨日追いかけた)

 

これをもとに、受動態の文を頭から作っていきます。

 

 

まずは「1. O(~を/に)をS(~は)に移動する」です。

能動態:They chased the dog(Oを) yesterday.

受動態:The dog(Sは)

 

次に「2. V(~する)をbe Vp.p.(~される)にする」です。ちなみに、Vp.p.とは過去分詞のことです(ざっくりいうと、後ろが-edになる動詞の活用の形です)。

能動態:They chased(Vした) the dog yesterday.

受動態:The dog was chased(Vされた)

 

さらに「3. S(~は)をby O(~によって)に移動する」です。byの後ろは目的格(「~を/に」と同じ形)にします。たとえば、by me/him/her/them…などです。

能動態:They(Sは) chased the dog yesterday.

受動態:The dog was chased by them(by Oによって)

 

最後に、「4. 残りそのまま」です。原則として、残りの部分はそのまま受動態に反映させます。

能動態:They chased the dog yesterday(のこり).

受動態:The dog was chased by them yesterday(のこり).

(受動態:その犬は彼らによって昨日追いかけられた)

 

 

特に「4. 残りそのまま」が超重要です。

 

このことを頭に入れたうえで、いよいよ“spoken to by a stranger”のように前置詞が続く理由を考えてみましょう。

 

“spoken to by a stranger”のように前置詞が続く理由

“spoken to by a stranger”のように前置詞が続く理由は下記のとおりです。

 

原則として、受動態には、必ず前提となる能動態があります。

 

今回前提となっている能動態は下記のとおりです。

能動態:A stranger spoke to me.

(能動態:見知らぬ人がわたしに話しかけてきた)

 

これをもとに、先ほどと同じ手順で受動態を作っていきましょう。

 

 

まずは「1. O(~を/に)をS(~は)に移動する」です。

能動態:A stranger spoke to me(Oに).

受動態:I(Sは)

 

次に「2. V(~する)をbe Vp.p.(~される)にする」です。

能動態:A stranger spoke(Vした) to me.

受動態:I was spoken(Vされた)

 

さらに「3. S(~は)をby O(~によって)に移動する」です。

能動態:A stranger(Sは) spoke to me.

受動態:I was spoken by a stranger(by Oによって).

 

 

“I was spoken by a stranger.”で一見文は完成したように見えますが、最後の「4. 残りそのまま」を忘れないようにしましょう。元の能動態の”to”をそのまま反映しなければいけません。

能動態:A stranger spoke to(のこり) me.

受動態:I was spoken to(のこり) by a stranger.

(受動態:わたしは見知らぬ人によって話しかけられた)

 

 

のこりの単語は、出来るだけ元の文と同じ位置に置いてあげます。そのため、”spoken”の直後に”to

“が続いているのですね。

 

 

このように考えると、”I was spoken by a stranger.”という文が誤っている理由がよくわかりますね。

 

元の文にあった”to”を反映させていないから間違い、というわけなのです。

 

まとめ

改めて受動態の基本をまとめておきます。

 

能動態⇒受動態の作り方
  1. O(~を/に)をS(~は)に移動する
  2. V(~する)をbe Vp.p.(~される)にする
  3. S(~は)をby O(~によって)に移動する
  4. 残りそのまま

 

 

他に試験に頻出の表現として、下記の能動態の書き換えがあります。

能動態:My mother took care of me.

(能動態:母はわたしの世話をした)

 

これも”I was taken care by my mother.”という間違いを犯しがちなのですが、「4. 残りそのまま」というルールを思い出すと、元の文にあった”of”が抜けていることに気が付くはずです。

能動態:My mother took care of me.

受動態:I was taken care of by my mother.

(受動態:わたしは母によって世話をされた)

 

 

以上、見落としがちな受動態の作り方でした。

 

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