時事通信/NHKがオバマ氏の回顧録を誤訳した、ということで話題になっています。
問題の箇所はいくつかあるのですが、今回取り上げるのはコチラです。
- A pleasant if awkward fellow
これを時事通信社は下記の通り訳したというのですね。
- 感じは良いが厄介な同僚だった
一体何が間違っているのか? 何がポイントなのか? わかりやすくザクっと考えていきましょう!
ポイントは譲歩のif
今回ポイントとなっているのは、譲歩のifです。特に今回は、ifを単純に「もし」と訳すのではなく、譲歩の意味で訳すのがポイントです。
どうして譲歩の意味?
ifは単独で使われた場合でも、「たとえ~でも」とeven ifに近い意味を帯びることがあるのですね。
例えば、下記のような形ですね。頭の中で”even if”を補うとわかりやすいです。
If there was any disappointment, it was temporary.
(たとえ多少失望したとしても、それは一時的なコトだった)
A pleasant if awkward fellowの意味・構造
さて、ifがeven ifの意味を帯びることがあることを押さえたうえで、今回のA pleasant if awkward fellowを見てみましょう。
今回は譲歩のifの中でも、下記の形が使われています。
- 形容詞① if 形容詞②: 形容詞②だとしても、形容詞①だ
今回は下記の構造になっています。
- A pleasant (形容詞①) if awkward (形容詞②) fellow
awkwardは「ぎこちない」、fellowは「男、奴」くらいの意味で捉えておきましょう。
A ( pleasant + awkward ) fellowのように、Aとfellowは、形容詞①のpleasantと形容詞②のawkwardに共通してかかっていると考えましょう。
つまり、
- ぎこちなくはあるが(形容詞②)、感じの良い奴だ(形容詞①)
となるのですね。
しかし先ほどのメディアの報道だと、
- 感じは良いが(形容詞①) 厄介な同僚だった(形容詞②)
となっており、形容詞の和訳の位置がまるで逆になっているのですね。
その結果、
- ぎこちなくはあるが(形容詞②)、感じの良い奴だ(形容詞①) ⇒感じの良い奴だね!
- 感じは良いが(形容詞①) 厄介な同僚だった(形容詞②) ⇒厄介な奴だね!
のように、ニュアンスも真逆になってしまっています。(今回は上の意味が正しい)
ちなみに、その後は日本の首相が短い間にコロコロ変わったことに触れつつ、
- a symptom of the sclerotic, aimless politics that had plagued Japan for much of the decade
と続きますが、
この文は
- 日本を10年の大半苦しめてきた硬直化した、目標のない政治の症候
くらいに捉えておけば良いでしょう。
コロコロ変わる日本の政治状況を批判的に記述しているわけですね。
しかし、先のメディアでは
- 「3年弱で4人目の首相であり、日本を苦しめてきた硬直化し、目標の定まらない政治の症状だ」と酷評した
と報道しています。
オバマ氏が酷評(? 批判的ではあるにせよ、酷評と言うほどではないと思います)したのは鳩山氏ではありません。日本の政治状況に対して、という方が読みとしては自然だと思います。
このように、大学受験レベルの話でも、しっかりと英語を学習しておけばひどい語訳を避けることが出来ますね!
今回はジーニアス英和辞典 第5版を参考に記事を執筆しました。記述がわかりやすい&充実しているので、大学受験生のみならず、社会人にもオススメの一冊です。たぷん一生使えます。
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