今回は no 比較級 than と not 比較級 thanの意味の違いを取り上げてみたいと思います。見かけ上の違いは小さいですが、訳すときには注意が必要な表現です。
また、一般的に「not 比較級 thanは良くない」と言われていますが、一体どうしてなのでしょうか?
今回は、そんな疑問をサクッと解決してみたいと思います!
no 比較級 than と not 比較級 thanの意味の違い
no 比較級 than と not 比較級 thanの意味の違いは下記の通りです。なお、わかりやすくするために、”He is taller than I. (彼はわたしより背が高い)”という具体的な例文を元にまとめてみました。
<A no 比較級 than B: Aが比較級でないのは、Bが比較級でないのと同様だ>
- He is no taller than I. (彼の背が高くないのは、私の背が高くないのと同様だ)
<A not 比較級 than B: AはBより比較級ではない>
- He is not taller than I. (彼の背がわたしより高い、というわけではない)
★noは差を否定、notは文自体を否定している点に注目!
ポイントは、
- noは差を否定
- notは文自体を否定
という点です。
下記にて詳しく見ていきます。
no 比較級 than
「A no 比較級 than B: Aが比較級でないのは、Bが比較級でないのと同様だ」から見ていきましょう。
例文はコチラです。
He is no taller than I.
(彼の背が高くないのは、私の背が高くないのと同様だ)
noは直後のtallerを否定しています。そのため、「彼と私の背の高さに差はない」という意味が生まれています。
また、tallerが否定されていることから、「tallではない = 背が高くはない」という意味を帯びることになります。
そのため、
- 彼は背が高くない = 私は背が高くない ⇒彼の背が高くないのは、私の背が高くないのと同様だ
という意味になるのですね。
ちなみに、これは「クジラの構文」と同じ構造です。「クジラの構文」が気になる方は、下記の記事を参照してみてくださいね。5分弱でサクッと読めます。
【クジラの構文】no more~than…を一発で覚える方法
not 比較級 than B
「A not 比較級 than B: AはBより比較級ではない」を見てみましょう。
例文はコチラです。
He is not taller than I.
(彼の背がわたしより高い、というわけではない)
ここでのnotは、単純に文自体を否定しています。
つまり、
- He is taller than I. (彼はわたしより背が高い)
- He is not taller than I. (彼はわたしより背が高いわけではない)
「not 比較級 thanは良くない」という話の真相
「not 比較級 thanは良くない」と授業で訂正されたことのある方も多いのでしょうか?
おそらく、典型的には下記のようなケースだと思います。
問題:彼はわたしほど背が高くはない
正解:He is not as tall as I.
誤答:He is not taller than I.
しかし、先ほどの例文では、”He is not taller than I.”という文もありましたよね。
それでも、この問題においては、”He is not taller than I.”はあまりよくない解答なのです。
まずは問題文の「彼はわたしほど背が高くはない」という日本語の意味から考えていきましょう。これを図で示すと、下記のような状況ですね。「彼の方が背が低い」という意味です。
これは「A not as tall as B: AはBほど背が高くはない」で表現できるのです。
というのも、“as~as”には「同じくらい~」という意味があります。これを“A not as tall as B”と否定すれば「AはBと同じくらいtallではない」となります。
その結果、「AはBほど背が高くはない」という意味になるのですね。
※not as ~ asの形については、下記でもう少し詳しく説明しています。5分くらいで読めるので、よろしければぜひお読みくださいね。
【原級⇔比較級の書き換え】not as ~ as = less ~ thanの意味・用法
一方、“He is not taller than I. (彼はわたしより背が高いわけではない)”はどうでしょうか。
notが否定しているのは、”taller: より背が高い”という情報です。
つまり、「彼は私より背が高い」という事実が否定されているだけなので、厳密には
- 彼は私より背が低い
- 彼は私と同じ背の高さ
のどちらも意味としては含むことになります。
ここで、問題文の「彼はわたしほど背が高くはない」を考えてみましょう。これが意味しているのは、「彼の方が背が低い」という意味だけですよね。
したがい、”He is not taller than I.”は少し意味がずれてしまうので、問題文の和訳としてはバツになってしまうのですね。
なお、そもそも論になってしまうのですが、「”He is not taller than I.”のように、比較表現とnotはセットで使用されることはあまりない」という話もあります。
一般的には、比較表現とnotがセットで使用されるのは、使用誰かの意見や質問に対して答える場合に限られるようです。
※もっと言うと、ネイティブはこの文脈においてnotとnoをそれほど区別していない、この文脈ではnoを普通は使うだけ、という話もあります。
まとめ
いかがでしたか? 下記に改めてまとめを再掲しておきます。すっと頭に入りやすくなっているはずですよ。
<A no 比較級 than B: Aが比較級でないのは、Bが比較級でないのと同様だ>
- He is no taller than I. (彼の背が高くないのは、私の背が高くないのと同様だ)
<A not 比較級 than B: AはBより比較級ではない>
- He is not taller than I. (彼の背がわたしより高い、というわけではない)
★noは差を否定、notは文自体を否定している点に注目!
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