今回は東大卒現役英語講師のわたしが、「意外と伸びない生徒」の3つの特徴についてお話ししたいと思います。
マジメな生徒が伸びるんだよね?
いえ、違います。「意外と」というのがポイントです。授業中寝ていたり、全く予習復習をしていなかったり…という生徒は論外ですが、「一見勉強している風なのにイマイチ成績が伸びない生徒」というのが実は結構存在します。
「きちんと宿題をして、積極的に質問する生徒が良いのだ!」とは先生方の間でよく見られる意見ですが、これって単に先生にとって都合の良い生徒の特徴を表しているだけなのですね。
正直、上記の特徴を持っているのに伸び悩んできた生徒はたくさんいます。
今回は「なんか勉強をやっている感じがするのにイマイチ伸び悩む」、「突き抜けることが出来ない」、そんな生徒の特徴をまとめてみました。
そして、さらに一歩踏み込んで、「どのようにすれば成績が伸びるのか?」まで解説してみました。この方法を実践することで、たった数か月で偏差値10~20アップした生徒が数多くいます。
自分自身(あるいは保護者の方がこの記事を読んでいるのであれば、自分の子どもが)これに当てはまるのでは?という方は、ぜひこの記事を参考にして、成績の伸びやすい体質を作っていってくださいね。
こんな生徒は「意外と伸びない」…5つの特徴
こんな生徒は「意外と伸びない」という5つの特徴は下記の通りです。
- 板書を写しているだけ
- 自分が「知らない」話しか聞かない
- 質問が単なる答え合わせ
- 教材・授業の意図を理解していない
- 復習をしていない
これだけだとよくわからないね
一つずつ具体的に説明していきましょう!
板書を写しているだけ
板書を写しているだけから見ていきましょう。
板書を写すことはもちろん大切なのですが、板書を写すこと・綺麗なノートを取ること自体が目的になっていませんか?
え、それじゃあダメなの?
板書をメモする目的は、
- 授業の内容を理解すること
- 家に帰って復習すること
の二点です。
漫然と板書を写しているだけだと、肝心の「授業の内容を理解する」という点がおろそかになってしまう危険性が非常に高いのです。
さらに、先生が大切なことを口頭で説明することも多々ありますが、それを適当に聞き流してしまう可能性もやはり高いです。
その場で理解できていないことは、家に帰ってノートを見返してもやっぱり理解しにくくなってしまいます。端的に言うと、家で復習が出来ないです。
板書を写す際に大切なのは、「頭をフル回転させつつ、手もフル回転させること」です。
これを実行することにより、「その場で深く理解+家で効果的に復習」につながります。
なお、メモを取る能力は大人になってからも超重要です。受験を通じて養うべき重要な力の一つです。メモの重要性、奥深さを解説したメモの魔力はベストセラーにもなりましたよね。
コチラの本は講師のわたしが呼んでも「なるほどな」と思うことが多々あるので、とてもおススメです。これから授業を受ける際のヒントになると思います。
自分が「知らない」話しか聞かない
自分が「知らない」話しか聞かないという特徴もよく見られます。
これは主に偏差値50後半~60前半の生徒によく見られる現象です。
とても言葉が悪いのですが、この偏差値にいる生徒は「自分は勉強ができるのだ」と勘違いしやすいのですね。
無知の知というソクラテスの言葉にもある通り、偏差値70超えの生徒は「自分が知らないことが数多くある」ことを自覚しているので、前のめりになってどん欲に知識を吸収しようとします。
一方、中途半端に成績の良い生徒は、「そんなこと知ってるよ」という顔をして、自分が知っている(と思い込んでいる)知識については、メモを取らなかったり、話を聞くのを放棄したりしてしまいます。
気づかぬうちに話が変わり、授業についていけなくなったり、そもそも「知っているつもりの知識」はハリボテのように脆いものであったりするので、どこかで成績が伸び悩んでしまいます。
(ある程度の知識はあるので、そこそこの成績には到達することが出来ますが。ただ、あくまで中途半端なそこそこどまりです)
また、仮に自分が本当にそれを知っていたとしても、板書をして損をすることはほぼないです。手を動かせばその分記憶は定着します。そして、手を動かせば動かすほど、処理能力はどんどん伸びていきます。
たとえば数学の計算なんかがわかりやすいと思いますが、13×21の答えは、時間をかければ誰でも正解しますよね。
ただ、実際の試験や実生活を営む上では、いかに瞬時に&正確に答えを導き出すかがとても重要なわけです。「計算の方法を知っている」というのと、「計算の方法が身についている(瞬時に正確に導き出せる)」というのには、かなり大きな差があるわけです。
昔わたしが東大にいた頃、灘高出身で鬼のように頭の良い友人がいました。入試での得点率は8割超え(理三に受かるレベルです)、普段の会話でも頭の回転や知識量は東大生の中でも群を抜いていました。マジでわたしの10倍くらい頭が良かったのです。
そんな彼と授業を一緒に受けていると、彼は毎回鬼のようにメモを取り続けていました。板書の内容から先生のちょっとした発言、さらにはその場で自分の頭に浮かんだ疑問まで。
おかげでわたしは授業に出る必要がなくなり(←アカン)、彼に全てを託し、テスト前に彼に定食を奢ることでノートを貸してもらう、というギブ&テイクの美しい関係を築くことが出来ました。
話がそれましたが、授業の内容は「自分が知っている」ものでも、とにかくどん欲に手を動かし、メモを取り続けましょう。
メモを取らずに済むのは、偏差値100レベルの人間や、映像記憶を持つ人間のみです。
※映像記憶=見たものをそのまま映像として記憶出来てしまう能力。この能力を持つ人が稀にいるみたいです。
質問が単なる答え合わせ
質問が単なる答え合わせというのも、成績が伸び悩む生徒によく見られる現象です。
たとえば授業中に、「わたしはお金を持っていない」という英作文を解説したとしましょう。そして、それに対して下記の答えを提示したとしましょう。
- I do not have any money with me.
※not~anyで「全く~ない」という強い否定の意味になります
すると、授業後にこんな質問をしてくる生徒がいます。
I have no money with me.はダメですか?
これは正しい表現です。not~anyはnoで言い換えることが出来ます。だからわたしが
それでも合っているよ
と答えると、それだけで満足して帰っていってしまうのです。
このやり取りのどこがダメかというと、生徒が「単に自分の答えがマルなのか知りたい」と考えている点です。別に答えなんていくら間違えても構わないんです。それを通じて知識を吸収出来ればよいわけですから。
この生徒の場合は、その真逆で、マル付けだけをして満足してしまっているのですね。そのような姿勢では、大した学力(もっと言えば大人になってからも使える思考力)は身に付きません。
したがい、質問をする際は、
- 自分なりに疑問の根拠(その質問がなぜ生じたのか)をある程度説明する
- 先生の解説を聞いた後、「これはこういうことですね」と理解の内容を確認してみる
ことがとても重要です。
今回のケースで言えば、
- not~anyはnoで書き換えられると思うので、”I have no money with me.”でも良いか?
- 先生の解説後、「not~anyはnoで書き換えられるからOKということですね」と理解の内容を確認してみる
ことが重要です。
※今回のケースはとても単純なので、2のステップはすっ飛ばしても良いかもしれませんが
質問というのは結構高度な技術が必要で、やはり大人になってからも重宝します。
「良い質問」というのは、きちんとした思考力や知識がないと発することが出来ません。「良い質問を出来るかどうか」で見極められてしまう場面も多々出てくると思います。(わたしも、大人同士のシビアなやり取りでは、「悪い質問」をした瞬間にその人間は心の中で切り捨てます)
学生のうちは質問力を高める練習期間です。上記のポイントを押さえたうえで、自分なりに「良い質問」を出来るようにしておくと、受験に必要な学力のみならず、生きていくうえで必要な力を養うことが出来るはずです。
教材・授業の意図を理解していない
成績が伸び悩んでいる生徒は、教材・授業の意図を理解していないことが多いです。
例えば英語の長文読解で、なんとなく問題を解き、なんとなく解説を聞いているような場合です。
長文読解は、
- 知らない表現・文法事項を身につける
- 英文の処理速度を高める
- 読解問題を解く際の解法を身につける
といった目的があってやるべきものです。
読解問題には、知らない単語を覚えられるし、英文を読む速度(あるいは聞く速度)もアップする、そして読解問題を解く際のコツもわかる(選択肢を読んでから本文を読む等)というメリットがあります。
メリットを理解せずに取り組んでしまうと、学習の内容がぼやけがちです。
これはスポーツでも同じだと思いますが、それぞれの練習にはキッチリした意図があるわけですよね。その意図を理解せずに練習をすれば、効果は半減してしまいます。
勉強も同じで、「自分はなぜいまこの問題を解いているのか?」を常に自問自答するようにしましょう。もしそれでも意図がわからなければ、先生に質問してみても良いかもしれません。
(意図をハッキリ答えられない先生は、あまり良い先生ではない、と個人的には思います)
復習をしていない
復習をしていない生徒は伸びません。これはほぼ断言できます。
「予習をきっちりして授業に来なさい」という先生は多いですし、わたしもある程度はその通りだと思います。
授業で扱う内容にザっと目を通しておかないと、「どこに力点を置いて授業に臨むべきか」がイマイチわからないからです。(一つ前に扱った「授業・教材の意図を理解する」ともつながってくる話です)
一方、時間は限られています。限られた時間の中で、様々な科目の勉強をしなければいけないわけです。(そして、読書をしたり友達と遊んだり部活もしなければいけません)
すると、物事に優先順位を付ける必要が出てきます。
その優先順を考えると、「復習>>>予習」となります。なぜなら人間は忘れる生き物であり、繰り返さない限り、記憶は定着しないからです。
復習こそが学習の最重要事項なのです。
もし「予習>復習」となっているようであれば、いますぐその優先順位を逆にしてください。感覚的には、予習と復習は「3:7」ないしは「2:8」くらいで良いです。
とにかく徹底的に復習しましょう。
※1 復習の重要性はコチラの記事でも解説しています。
※2 ちなみに、復習の重要性は脳科学の観点からもよく言われています。下記は、国内の記憶研究の第一人者の池谷先生の本です。記憶のメカニズムがよくわかり、とても面白いのでオススメです。
記憶力を強くする 最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)
おわりに
いかがでしたか? 改めてポイントをまとめてみます。
- 板書を写しているだけ
- 自分が「知らない」話しか聞かない
- 質問が単なる答え合わせ
- 教材・授業の意図を理解していない
- 復習をしていない
成績アップを狙う人は、いまからでも全く遅くはありません(仮にそれが高三/浪人からであっても)。
一日も早く良い学習習慣・良い学習姿勢を身につけて、劇的な成績アップを目指しましょう。その力は、大人になってからもきっと生きてくるでしょう。
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