先日「学力」の経済学を読み、内容が面白かったので重要なポイントをまとめてみました。
特に子育てをしている方や、教育に携わっている方は必読の本だと思います。
「どのように教えれば/育てれば、子どもの学力は伸びるのか、子どもの年収は高く伸びるのか」という問いに科学的に答えようとした本です。
「学力」の経済学の重要ポイント
「学力」の経済学を読んで、個人的に心に刺さったポイントは下記の通りです。
<ポイント①:ご褒美の効力は?>
- ご褒美で子供を釣っても、勉強に対する子供のやる気はそがれない
- 小学生までは、お金よりトロフィーなどのような精神的なご褒美の方が効果的
- 中学生以降は、お金の方が効果的
- お金を与える際、金融教育も一緒に施せば、お金を大切に扱うようになる
- ご褒美は「〇〇点とったら」のように結果に対し与えるより、「〇〇時間勉強したら」のように、勉強する過程に対して与えた方が効果的。その方が勉強する習慣がつきやすい
<ポイント②:褒めて伸ばすのは効果的か?>
- 子どもの自尊心を高めるよう、悪い成績を取った子に対しても「きみはやればできる」等というのは、子どもが学力の低さを自覚するチャンスを奪うので逆効果
- また、「アナタは頭が良い」と子どもの能力を褒めるより、「アナタはよく頑張った」と子供の努力を誉める方が効果的
<ポイント③:テレビやゲームをやめたら勉強するか?>
- テレビやゲームをやめても勉強するようにはならない
- 一方、一日2時間を以上テレビやゲームに触れることは、学習や発達に悪影響を及ぼすことが分かっている
- 一日1時間程度までなら悪影響はないので、息抜き程度にほどほどは認めてあげるのが効果的
<ポイント④:親は子供の勉強にどのように関わればよいか?>
- 「勉強しなさい」というのは逆効果
- 「横で勉強を見ている」「勉強する時間を決めて守らせる」等、親のかかわりを求める方法は効果的。特に同性の親がやると効果的
- 親が忙しくて難しい場合は、親戚や家庭教師、先生などでも同等程度の効果が見込める
<⑤周囲の友人から受ける効果>
- 問題児の存在は学力にマイナスの影響を与える(たばこや飲酒などの影響も受けやすい)
- 優秀な同級生からプラスの影響を受けるのは、元々優秀な生徒のみ。その他の生徒はマイナスの影響を与える可能性もある
- 学力別のクラス編成は生徒の学力にプラスに働く。教員の指導がより効果的なものになるほか、同じレベルの生徒同士で高め合うことが期待できるため
<⑥子供への投資の収益効果>
- 子供への投資は早ければ早いほど投資効果が高い。最も高いのは0~3歳の間
- ただし、個々での投資とは、単に学習塾に通わせるようなものではなく、しつけや体力、健康面での支出も含んだもの
<⑦非認知能力を過小評価してはいけない>
- 非認知能力とは、学力以外の「社会性」「忍耐力」「意欲」等といった能力
- 非認知能力を鍛える場としては部活などが有効。学力を上げるために部活を簡単に止めてしまうのは避けるべき
<⑧教員の質を高めるためには>
- 「ボーナスを与える」より、「ボーナスを失わせる」ことの方が、教員の質を高めるのに効果的だった
- 人間は「すでに持っているものを守ること」にモチベーションが働きやすい
教員が注意すべきこと
わたしは教える立場の人間なので、ポイント②の「成績の低い子をやみくもに褒めてはいけない」「能力よりも努力を誉めるべき」という点は特に気をつけないといけないな、と思いました。
わたしなんかも、勉強ができない&サボりがちな子にもつい、「ポテンシャルがあるんだからやればできるだろう」的なことを言ってしまいますが、これって思いっきり本の内容に反していそうです。
もちろんケース・バイ・ケースとは思いますが、努力をしていなくて結果も出ていない子に対しては、むやみに褒めるのは禁物ですね。
それよりも、「何を・どのように・どれくらい勉強すればよいのか」を具体的に指示して、それをきちんとこなしたことに対して評価をした方がよさそうです。
あとボーナスを上げるより、下げる方が教員の質を高めるのに効果的、というのはなんとも背筋が寒くなる話です…怖いのでここでは深入りしないようにしておきます。
他にも「学力」の経済学には、上記のまとめに含まれていないような内容も書かれています。
「私はこう思う」系の無責任な教育論ではなく、学問として検証された論をわかりやすく紹介してくれているので、読む価値はとても高いと思います。
子育て中の方や、教育業界に携わっている・将来携わりたいと考えている方は特に必読だと思います。あるいは、会社で部下をコントロールする術にも応用可能かもしれませんね。
Amazonで「学力」の経済学は、速攻で手に入りますので、いますぐ読むことをおススメします。
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