今回はちょっとした小ネタです。
- 子音の前ならa
- 母音の前だとan
という区別は多くの人が知るところだと思いますが、
これに対しては、
- “a apple”のように母音が連続すると発音が滑らかにならないからだ
という説明が一般的には与えられています。
「それって本当なのかな?」という疑問を呈し、英語の歴史からひも解いてみたたのが今回の記事です。
3分程度で読めます。ちょっとした雑学として面白いですよ!
“an apple”となるのは、発音しやすいからではない?
「母音が連続すると発音しづらい」というのは本当でしょうか?
たとえば、“a apple”も、「アーアップル」とすればよいだけなので、さほぼ不便に感じません。
※わかりやすさ優先で、発音はカタカナ表記します。
実際、英語には母音が連続する表現も数多く見られます。
- my apple(マイアップル)
- my idea(マイアイデア)
そもそも、発音のしにくさを回避するためにわざわざnを付け足し、
anとする理由もよくわかりません。
別に、asとか、amにして、
- as apple(アズアップル)
- am apple(アムアップル)
としても良かったハズです。
anがわざわざ採用されたのは、発音のしやすさ、という観点からは説明しきれない部分があります。
a/anの語源はone
ここで、a/anの語源を考えてみましょう。
a/anが「一つの」という意味にもなることからもわかる通り、a/anの語源はoneです。
oneが弱まって出来たのが、anなのです。
そして、これが一番大切な点です。
a/anという表現は、aが先に生まれたのではなく、anが先に生まれたと考えられるのです。
つまり、one⇒an⇒aという順序です。
(oneがanになり、anがさらに弱まりaになった)
なぜ「an⇒a」という変化が生まれたかというと、後ろに子音が続く場合、anよりもaの方が発音が滑らかになりやすいからです。
たとえば、
- a pen(アペン)
- an pen(アンペン)
を比べると、a penの方が発音しやすいですよね。
実は、英語の歴史だとinやon等のnが抜け落ちる現象は多々あります。
別の記事で紹介したalikeなども同様の現象が起きています。
※下記の記事です。これを読むと、alikeやaliveがなぜ叙述用法になるか(名詞の後ろに置かれるか)がわかるのでオススメです。
つまり英語の歴史の観点からは、
「”an+母音”の方が発音しやすいからanが付いた」ではなく、
「”a+子音”の方が発音しやすいからanのnが抜け落ちた」と考えられるのです。
おわりに
いかがでしたか?
今回はちょっとした豆知識でした。先生方は学校の授業で、生徒の皆さんは他の生徒に対しちょっろと自慢できる面白い話ですね。
なお、今回の記事は堀田隆一氏のはじめての英語史を参考にさせて頂きました。
英語の歴史から、「なぜ英語の単語や文法等が現在の形になったのか」をひも解いていく非常に面白い本です。この記事で興味を持って頂けたのであれば、ぜひお読み頂きたい一冊です。
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[…] 【英語の歴史】”an apple”となるのは、発音しやすいからではない? […]