今回取り上げるのはas~as「同じくらい~」という表現です。比較の基礎ですね。
なんとなくわかる…かも
なんとなく丸暗記しがちな表現ですが、今回はasの品詞を考えてみたいと思います。実はコレ、同じasなのに副詞と接続詞が使われているのですね。
一体どういうことなのか? 表現の成り立ちを理解すれば、単純な暗記から解放され、勉強がもっとグッと楽になるハズです!
「A as~as B: AとBは同じくらい~」
まずは基本の訳から確認していきましょう。イメージは、AとBをイコールでつなぐカンジです。
<基本>
- 「A as~as B: AとBは同じくらい~だ」
- 一つ目のasの直後には、形容詞/副詞の原級がくる(名詞がある場合は”as 形容詞/副詞 a 名詞”という語順になる)
- 否定文の場合、一つ目のasはsoに置き換え可能
<品詞>
- 一つ目のasは副詞。直後の形容詞/副詞を修飾している
- 二つ目のasは接続詞。後ろの文をつなげている
一体どういうことなのか? 例文で見てみましょう。
A as~as Bの基本
Homework is as important as club activities.
(宿題は、クラブ活動と同じくらい重要だ)
「A:Homework宿題」と「B:club activities(クラブ活動)」がイコールで結ばれていますね。as~asに挟まれているのはimportant(重要な)という形容詞です。そのため、「宿題はクラブ活動と同じくらい重要」という訳になっています。
もう一つ例文を見てみましょう。
She cannot run as fast as he.
= She cannot run so fast as he.
(彼女は、彼ほど速く走ることは出来ない)
間に挟まれているのがfast(速く)という意味の副詞であること、否定文なのでsoも使用可能なこと、の二点を確認してください。
なお、heのあとにはhe can runという表現が省略されています。(同じ表現を繰り返すのはくどいので省略されています)
なお、間に名詞がある場合は、A as 形容詞+a+名詞 as Bという語順になることがあります。
例文はコチラ。否定形なので、一つ目のasはsoへ置き換え可能です。
He is not as good a doctor as she.
= He is not so good a doctor as she.
(彼は、彼女と同じくらい良い医者ではない)
なんかヘンな語順…
なぜこんなことになっているか? as~asの二番目のルールを思い出してください。
<基本>
- 「A as~as B: AとBは同じくらい~だ」
- 一つ目のasの直後には、形容詞/副詞の原級がくる(名詞がある場合は”as 形容詞/副詞 a 名詞”という語順になる)
- 否定文の場合、一つ目のasはsoに置き換え可能
一つ目のasの直後には、形容詞か副詞しかくることが出来ないんです。冠詞であるaや、名詞であるdoctorがきてはいけないんですね。
だから無理やりgoodを前に持ってきて、as good a doctorとしたわけです。こうすれば、asの直後は形容詞goodになり、as~asのルールを守ることが出来ます。
A as~as Bの品詞
さて、ここでA as~as Bの品詞を考えてみましょう。
鋭い方は、こんな疑問を持ったかもしれません。
一つ目のasの直後が、名詞NGなのはなぜ?
二つ目のasの直後は、she(彼女)という名詞がきてるのに…
それは、一つ目と二つ目のasで品詞が違うからです。一つ目のasは副詞、二つ目のasは接続詞なんですね。
たとえば、下記の例文で考えてみましょう。
He is as tall as she.
(彼は彼女と同じくらい背が高い)
まず、一つ目のasは副詞です。原則として、副詞は名詞を修飾することが出来ません。副詞が修飾するのは形容詞や副詞(あるいは文全体)のみです。そのため、一つ目のasの直後には形容詞/副詞が来ているのです。
一方、二つ目のasは接続詞です。接続詞は、たとえば接続詞andやwhenを考えればわかりますが、直後に名詞がきてもOKですね。そのため、二つ目のasの直後は名詞がきても問題ないのです。
さらに詳しく言うと、実は二つ目のasは、下記のような文をくっつける働きを果たしています。
He is tall.
She is tall.
⇒He is as tall as she (is tall).
後半の”is tall”の部分は、前半部分との繰り返しを避けるために省略されているのですね。このように、”she is tall”という文を後ろにくっつけていることからも、二つ目のasが接続詞であることはよくわかると思います。
ちなみに、上記のas~asの成り立ちがわかっていると、「わたしは彼と同じくらい多くの本を持っている」という英作文も間違えることがなくなります。
生徒に書かせると”I have books as many as he.”などのような誤答が目立ちますが、
I have many books.
He has many books.
⇒I have as many books as he (has many books).
と考えると、”I have as many books as he.”と正しく作文出来ますね。
asのコアイメージは「イコール」
もう一つ押さえてほしいのが、asのコアイメージは「イコール」ということです。「同じくらい」という訳からもわかる通り、asには「イコール」の意味合いがあるのです。
品詞の違いと、「イコール」というasのコアイメージを意識しつつ、例文を見てみましょう。
He is as good a teacher as she (is a good teacher).
(彼は、彼女と同じくらい良い先生だ)
一つ目の副詞asは形容詞goodを修飾し、「同じくらい良い」という訳になりますね。その後のa teacherという名詞とセットで訳すと、「同じくらい良い先生」です。
二つ目の接続詞asはshe~を導きつつ、「同じくらい~」という意味合いも出しています。「イコール」の意味を持つので。直訳すると、「彼女が良い先生であるのと同じくらい」です。
一つ目/二つ目のasのカタマリを意識しつつ直訳すると、「彼は同じくらい良い先生だ。彼女が良い先生であるのと同じくらい」となりますね。
asのさらなる意味はこちらの記事でまとめています。「イコール」のイメージがわかると、様々な意味を一気に理解できるのでオススメです。
まとめ
今回のポイントをまとめましょう。
<基本>
- 「A as~as B: AとBは同じくらい~だ」
- 一つ目のasの直後には、形容詞/副詞の原級がくる(名詞がある場合は”as 形容詞/副詞 a 名詞”という語順になる)
- 否定文の場合、一つ目のasはsoに置き換え可能
<品詞>
- 一つ目のasは副詞。直後の形容詞/副詞を修飾している
- 二つ目のasは接続詞。後ろの文をつなげている
丸暗記していた表現ですが、こうして理詰めで考えると、ストンと腑に落ちますね。もうas~asで迷うことはないハズです。
コメント
[…] <参考記事>as~asの基本:一つ目と二つ目のasは意味が違うって知ってた? […]
[…] <参考記事>比較のas~as!一つ目と二つ目のasで意味が違うって知ってた? […]