こんにちは、今回は「all the more 理由」の表現を取り上げます。「…なのでいっそう~」という訳ですね。
みなさんもどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか?

うっすらと…
ただなんとなく苦手意識が…
実はわたしもずっと苦手意識を持っていたのですが、
それってこの熟語の仕組みを知らなかったからなんですね。
どのようにこの表現は成り立っているのか?
品詞分解し、徹底的に見ていきましょう。
全体像
まずは全体像を示します。今回取り上げる表現や、類似の表現を簡単にまとめます。
<all the 比較級+理由>
- all the 比較級 because SV:SVなので、いっそう~
- all the 比較級 for A:Aなので、いっそう~
<none the 比較級+理由>
- none the 比較級 because SV:SVだからといって、少しも~ない
- none the 比較級 for A:Aだからといって、少しも~ない
<none the less+理由>
- none the less because SV:SVにもかかわらず、~だ
- none the less for A:Aにもかかわらず、~だ
大きく分けて3種類です。
全て、「○○ the 比較表現+理由」という構造は変わりませんね。
なぜこのような訳になるのか?
順番に見ていきましょう。
all the 比較級+理由
all the 比較級+理由のパターンです。
「〇〇という点が理由で、もっとプラスになっちゃう!」という表現です。
このパターンは、
- all the 比較級 because SV:SVなので、いっそう~
- all the 比較級 for A:Aなので、いっそう~
の二つです。
どちらも同じ意味になりますね。例文で見てみましょう。
I like him all the better because he has some faults.
= I like him all the better for his faults.
(彼が欠点を持っているので、わたしはいっそう彼のことが好きだ)
まず、「彼のことが好き」という事実がベースにあります。
で、さらに、「彼が欠点を持っている」という事実が理由で、「彼のことが好き」という事実が強められているんです。
理由に当たる部分は、because / forどちらで表現してもOKです。
forには「~なので」という理由の意味もあるので、知らなかった人はこれを機会に覚えておきましょう。
直訳から考える
さて、とりあえずの形を確認したところで、
なぜall the 比較級+理由が「…なので、いっそう~」という意味になるのか?
を考えてみましょう。
まずはallから。
allには「まったく、すっかり」と意味を強める副詞の用法があります。
そしてtheです。
theには「それだけ、ますます」という副詞の用法があるんですね。
冠詞の意味だけじゃないんですね。驚きです。
さらに比較級。
これはそのまま。比較級は「さらに、より」というおなじみの意味ですね。
で、最後に理由の表現が来るわけです。
これもそのまま。理由は「…なので」です。
これらを全て組み合わせて直訳すると、
「…なので、すっかりますます さらに~」くらいの意味になるでしょうか。
「…なので、いっそう~」という意味とほぼ同じになりましたね。
※なお、本表現の語順については次の記事で詳しく説明しています。
参考記事:【徹底解明!】all the more~ because… の位置について
none the 比較級+理由
続いて、none the 比較級+理由のパターンです。
「イイところがあるからといって、プラスになることは少しもないよ」という表現です。
これも、
- none the 比較級 because SV:SVだからといって、少しも~ない
- none the 比較級 for A:Aだからといって、少しも~ない
の二つの表現がありますね。
先ほどとの違いは、allの代わりにnoneが使われている点です。
例文で見てみましょう。
I like him none the more because he has faults.
= I like him none the more for his faults.
(彼がカッコイイからといって、わたしは少しも彼が好きではない)
直訳から考える
これも直訳から考えてみましょう。
まず、noneは「少しも~でない」という副詞です。
theは「それだけ、ますます」という意味の副詞でしたね。
比較級は「さらに、より」という意味のおなじみの表現で、
理由は「…なので」です。
これらを全て組み合わせて直訳すると、
「…なので、ますます さらに~ということは少しもない」くらいの意味になるでしょうか。
「…だからといって、少しも~ない」という意味に近くなりましたね。
none the less+理由
最後にnone the less+理由です。
「欠点があってもOK、気にしないよ」という意味合いを持つ表現です。
やはりbecauseとforを使った二パターンあります。
- none the less because SV:SVにもかかわらず、~だ
- none the less for A:Aにもかかわらず、~だ
none the 比較級+理由との違いは、
比較級部分にlessが使われている点です。
例文で見てみましょう。
I like him none the less because he has some faults.
= I like him none the less for his faults.
(彼が欠点を持っているにもかかわらず、わたしは彼のことが好きだ)
直訳から考える
これも直訳から考えてみましょう。
まず、noneは「少しも~でない」という副詞、
theは「それだけ、ますます」という意味の副詞でしたね。
今回は、次にlessが使われています。
マイナス方向の比較の表現で、lessは「より少ない、より~でない」という意味を持っています。
理由は「…なので」ですね。
これらを全て組み合わせて直訳すると、
「…なので、ますます より~でなくなることは少しもない」くらいの意味になるでしょうか。
「…にもかかわらず、~だ」という意味に近くなりましたね。
まとめ
いかがでしたか?
表現のまとめを改めて載せておきます。今度は頭に入りやすくなったのではないでしょうか。
<all the 比較級+理由>
- all the 比較級 because SV:SVなので、いっそう~
- all the 比較級 for A:Aなので、いっそう~
<none the 比較級+理由>
- none the 比較級 because SV:SVだからといって、少しも~ない
- none the 比較級 for A:Aだからといって、少しも~ない
<none the less+理由>
- none the less because SV:SVにもかかわらず、~だ
- none the less for A:Aにもかかわらず、~だ
この手の表現を学校で習ったものの、「なぜこの訳になるのか?」をわからず丸暗記していた方も多いと思います。丸暗記は必ずしも悪ではないのですが(場合によっては丸暗記した方が早いです)、やはり理屈と一緒に覚えた方が頭に残りやすいです。
理屈を押さえたうえで、あとは何度も音読をして、感覚的に身体で吸収してしまいましょう。
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コメント
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