こんにちは、今回は比較級についてまとめたいと思います。thanが関係する表現ですね。

そんなのよく知ってるよ!
ただ、わかっていそうで意外とわかっていないのが比較級。
今回は、thanを使った表現を品詞から見ていきたいと思います。特に比較の強調は、品詞から考えないと少し混乱してしまいます。
thanの全体像まとめ
まずはthanを使った表現の全体像をまとめてみましょう。
<more系の表現>
- 副詞/形容詞語尾に-er:~より…だ(強める方向)
- more 副詞/形容詞 than:~より…だ(強める方向)
- more 名詞 than:~より…だ(強める方向)
- less 副詞/形容詞 than:~より…でない(弱める方向)
- less 単数名詞 than:~より…でない(弱める方向)
順番に見ていきましょう。
more系の表現
まずはmore系の表現です。全て語句を強める方向に働きます。
副詞/形容詞語尾に-er:~より…だ
副詞/形容詞の語尾に-erをつけると「~より…だ」という意味になります。
He is stronger than I.
= He is stronger than me.
(彼はわたしより強い)
HeとIを比べて、「Heの方がより強い」と言っているわけですね。比較の表現は文構造同士を比較するのが基本です。
なので、thanの前後でHe is strongとI am strongを比較していることに注目してください。同じことを二度言うのはくどいので、am strong部分を省略したのが例文のIの正体です。
ということは、thanの品詞は?
He is strong / I am strongという二つの文の間にあるので、thanは接続詞です。
He is stronger than I (am strong)のように、二つの文をつないでいるのでthanは接続詞です。
ただ、くだけた言い方ではthan meとしてもOKなんですね。thanの前後でHe is strong / meという非対称な文構造になっても、くだけた表現ではOKということになっています。
さてここで問題。than meのとき、thanの品詞は?

うーん…
than meのとき、thanは前置詞です。
たとえば前置詞toで、to meなんて表現はよく見ると思いますが、to Iとは言いませんよね。これは、主格であるIが前置詞toの目的語の位置にきているので、目的格meに変化したためです。前置詞の目的語なんて言い方もされるように、前置詞の後ろの人称代名詞は目的格に変化するのです。
than meも、thanが前置詞なので目的格meが使われているというコトですね。
more 副詞/形容詞 than:~より…だ
長めの単語のとき(一般的には二音節以上のとき)、-erではなくmoreを使います。意味は同じく「~より…だ」です。
He is more polite than she.
(彼は彼女よりも礼儀正しい)
moreの後ろには形容詞か副詞が入ります。
ということは、moreは副詞ですね。
今回の例文であれば、more→polite「より→礼儀正しい」と、形容詞を修飾しているわけですから。
thanは先ほどと同じく接続詞。やはり、he is polite / she is politeという二つの文をつなぐ役割をしています。
more 名詞 than:~より…だ
次は、moreの後ろに名詞がくるパターンです。
He has more books than I.
(彼はわたしよりも多くの本を持っている)
moreが修飾しているのはbooksという名詞です。「より多くの→本」という関係ですね。
名詞を修飾しているので、moreは形容詞です。
先ほどまでのパターンでは形容詞や副詞を修飾していたので、moreは副詞でした。ただ、今回は名詞を修飾しているので、moreは形容詞。moreの直後の単語次第で、moreの品詞って変わるんですね。
なお、thanは先ほどまでと同じく接続詞です。
less 副詞/形容詞 than:~より…でない
次はmoreと逆の表現、lessの例文です。
He is less strong than I.
= He is less strong than me.
(彼はわたしより弱い
= 彼はわたしより強くない)
more系の表現では、「より強い」とstrongを強める方向に機能するのでした。
ただ、less系の表現はその真逆。「より強くない=より弱い」とstrongを弱める方向に機能するんです。
なお、more系では、単語が短ければ-erとしていましたが、less系では全て頭にlessを付けるだけです。語尾が変化することはありません。
今回のパターンであれば、lessの後ろに形容詞 / 副詞がきているので、lessは副詞です。thanはこれまで通り、接続詞ですね。
less 単数名詞 than:~より…でない
次はless 単数名詞 thanです。
これは少し注意が必要で、
量が少ない場合は fewer 複数名詞 than
数が少ない場合は less 単数名詞 thanを使います。
(くだけた言い方ではless 複数名詞 thanもあるようですが)
A shower uses less water than a bath.
(シャワーの方が、お風呂よりもお湯をあまり使わない)
lessは名詞waterを修飾しているので形容詞、
thanは前後の文をつないでいるので接続詞ですね。
強調表現
比較級には強調表現というものがあります。下記の単語を比較級の前に置くことで、比較級の意味を強めることが出来るんですね。
- 比較級は、much / far / by far / far and away / even / still / a lot / lots / a great deal / a good deal / yetなどで強調可能
- ただし、”more 名詞”のパターンでは、名詞が可算名詞なら”many more 名詞”、不可算名詞なら”much more 名詞”とする
例文はコチラ。
He is much taller than I.
(彼はわたしよりずっと背が高い)
muchがtallerを「むっちゃ→より高い」と修飾していますね。tallerは形容詞なので、muchは副詞というコトになります。
many moreかmuch moreか

比較級を強調したければ、
とりあえずmuchを使えば問題なさそうだね!
ところが、そうもいかないケースがあるのです。それは、後ろに名詞が続くパターン。
名詞が可算名詞のときはmany more A、
名詞が不可算名詞のときはmuch more A
としなければいけないんですね。
例文はコチラ。booksは可算名詞なので、manyを使っています。
He has many more books than I.
(彼はわたしよりはるかに多くの本を持っている)
informationは不可算名詞なので、muchを使っています。
He has much more information than I.
(彼はわたしよりはるかに多くの情報を持っている)

many → more → booksという修飾関係だから、
manyはmoreを修飾。
比較級の強調表現にmanyなんてあったっけ?
いいえ違います。実は、修飾関係は、次のような構造をしているのです。
many → books
more → books
much → information
more → information
many, much, more…全て名詞に対する修飾なんですね。で、muchは不可算名詞にしか付くことが出来ないというルールがあります。そのため、可算名詞ではmanyが使われているのです。
おわりに
いかがでしたか?
普段品詞を意識することはあまりないかもしれませんが、熟語などを覚えていて「?」と思う瞬間があったら、一度品詞分解してみることをオススメします。
文法ってよくできているもので、それでたいていは「なるほど!」と理解できたりします。
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