生徒からよく受ける質問のひとつに、こんなものがあります。
自動詞と他動詞の違いがわからない!
こんなときわたしは、
- 意味
- 形
の両方から考えるようアドバイスしています。
一体どういうことなのでしょう。順番にご説明します。
意味からのアプローチ
まずは意味からのアプローチをご説明します。これは和訳から考えるというアプローチです。
具体的にはこんな感じです。
- 自動詞:動作の相手が不要(自分だけで動作が完結する)
- 他動詞:動作の相手が必要(相手に対して何かする)
例文で見てみましょう。まずは自動詞から。
自動詞: I stopped. (私は止まった)
「止まる」という動作は、自分一人でも出来ますよね。部屋が広い方は、実際に歩いて、立ち止まって見てください。
全ての動作が、一人で完結するハズです。
さて、今度は他動詞を見てみます。
他動詞: I stopped her. (私は彼女を止めた)
「彼女を」という部分に注目です。「彼女を」「止める」のです。
これは相手に対して何かをしていますね。彼女がスタスタそこら辺を歩いているのを、わたしが止めた…そんな風に、相手に対する動作を行っているのです。
これは、自分一人ではできない動作です。止める相手、彼女がいて初めて成り立ちます。
相手が必要、
他人が必要だから他動詞というわけです。
端的に言うと、「~を」とか「~に」という和訳になるとき、その動詞が他動詞である可能性は高いです。
形からのアプローチ
一方、形からアプローチをすると、こんな感じになります。
- 自動詞:Vの後ろにOがない
- 他動詞:Vの後ろにOがある
なぜ形からのアプローチが必要なのか?
それは、意味からのアプローチを説明すると、必ずこんな疑問が出てくるからです。
先生、これも他動詞ですか?
「~を」って和訳になるけど。
その例文はコチラ。
I hope for his success. (わたしは、彼の成功を願います)
※ちなみに、successの語源記事はコチラ
たしかに、「~を願う」なので、意味から考えれば他動詞っぽいです。ただ、今回はforの存在に注目してほしいのです。
forは前置詞です。そして、前置詞の後ろには必ず名詞が来ます。
さらにさらに、これが一番重要なコトなのですが、
前置詞+名詞のカタマリはMになるのです。
…M?
5文型を確認しよう
5文型ってありましたよね。こんなやつです。
- SV
- SVC
- SVO
- SVOO
- SVOC
英語の文って、よほど特殊な詩とかでない限り、
必ずこれら5つのどれかに分類されます。
で、他動詞とは、後ろにOを取る動詞のことなのです。
先ほどの例文で説明するとこんな感じです。
他動詞: I (S) stopped (V) her (O). (私は彼女を止めた)
動詞Vの後ろにOがきているのがわかるでしょうか?
「自動詞か他動詞か?」を形の上から判断しようとすると、
「後ろにOがきているかどうか?」が判断基準になるのです。
ただ、これまでの話の中に、Mは含まれていませんよね。
実は、Mだけは5文型の中に、いくらでも入れることが出来るのです。
SVMとか、MSV、SVMM、SVOMCなんてのもアリなのです。
で、結局Mってなんなの?
Mは「形容詞」か「副詞」!
Mは「形容詞」か「副詞」を指します。
※MはModifier(修飾語)の頭文字をとったものなのです。
たとえば、先ほどの例文であれば、次のように記号を振ることが出来ます。
I (S) hope (V) for his success (M). (わたしは、彼の成功を願います)
他に例文をあげると、こんな感じです。
I (S) went (V) to school (M). (わたしは、学校に行きました)
「~を」とか「~に」という言葉があるので、他動詞?と考えてしまいがちですが、
他動詞は、後ろにOを取るものなのです。
これらの例文でのhopeやwentは後ろにOを取っておらず、Mを取っているので、自動詞なのです。
余談
こんな説明をすると、イマイチ釈然としない生徒もいます。
hope forで「~を願う」なんだよね…
なんか、意味だけ見ると他動詞みたい…
ここで思い出してほしいのが、前置詞の後ろには名詞が来るというルールです。
実は、前置詞の後ろにくる名詞には、前置詞のOという名前が付けられています。
つまり、hope forを一つのカタマリとしてみてしまえば、その後ろにはOが来ていると言えますね。
このことを考えれば、hope forやwent toが「~を」とか「~に」といったように、他動詞のような和訳になるのも納得です。
※ちなみに、hope forを一つのVのカタマリ、後ろの名詞をそのOと考えれば、hope forを他動詞的な表現と捉えることは出来ます。正直、ここら辺までくると、自動詞/他動詞の線引きは区切り方次第、という感じです。
おわりに
いかがでしたか? 最後に要点をまとめてみましょう。
- 自動詞:動作の相手が不要(自分だけで動作が完結する)
- 他動詞:動作の相手が必要(相手に対して何かする)
- 自動詞:Vの後ろにOがない
- 他動詞:Vの後ろにOがある
- 前置詞の後ろには必ず名詞が来る(前置詞のOと呼ばれる)
- 前置詞+名詞でMになる
自動詞と他動詞の違いがわかれば、文型の違いがわかるようになります。文型の違いがわかれば、複雑な文もサクサク読み進めるようになります。
英語上達のカギなので、ぜひ頑張ってみてくださいね!
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