突然ですが、asやbut, thanが関係代名詞になることがあるって知っていました?

知らなかった…
as, but, thanのように、「一見すると関係代名詞っぽくはないモノ」を疑似関係代名詞と呼びます。
疑似関係代名詞としてのbutはややマイナーな印象ですが、asやthanは文章を読んでいても結構出くわす表現です。
今回はas, but, thanを順番に説明していきますが、分量的にはasの説明が多くなると思います。
疑似関係代名詞全体像
まずは全体像から。今回の記事では下記の内容を説明していきます。
<as>
- 非制限用法として使用(whichとの違いは、「①asのカタマリは先行詞より前に来ることも可能」「②as内で否定語を使うのはダメ、which内で否定語を使うのはOK」「③asが主格になる時はbe動詞やseem、appearなどしか使えない」という点)
- such A as Bで「BのようなA」
- the same A as Bで「Bと同じA」
- as A as Bで「Bと同じA」
- その他定型表現は下記の通り
- as is often the case with A:Aにはよくあることだが
- as is usual with A:Aにはよくあることだが
- as is evident from A:Aから明らかなように
- as so often happens:よくあることだが
- as might have been expected:期待通りに、さすがに
<but>
- ~but…で、「…でない~」という意味
- butをthat…notで書き換えるとわかりやすい
<than>
- ~than…で「…以上の~」という意味
以下、個別の表現を見ていきましょう。
疑似関係代名詞as
まずはasからいきましょう。疑似関係代名詞asにはいくつかパターンがあるので、パターン別に見ていきたいと思います。
非制限用法のパターン
非制限用法のasです。前の文を先行詞にします。 ~, as…で「…なように、~だ/…ではあるが~だ」と訳すのが基本です。
<参考記事>非制限用法とは? 制限用法との違い
例文はコチラ。先行詞は前の文の内容です。
He is very lazy, as his work shows.
= As his work shows, he is very lazy.
= He is very lazy, which his work shows.
(彼の仕事ぶりが見せるように、彼はとても怠惰だ)
一番上の例文を見てください。これは2つの文に分解することが出来ます。asが指している内容(前の文の内容)に注目です。
He is very lazy, as his work shows.
- He is very lazy. (彼はとても怠惰だ)
- his work show as (=He is very crazy). (彼の仕事ぶりがそのこと(=彼はとても怠惰だ)を見せている)
whichにも同じ用法がありますが、whichとの違いは、asのカタマリは先行詞より前に来ることも可能な点です。
(註:他には、「①as内で否定語を使うのはダメ、which内で否定語を使うのはOK」、「②asが主格になる時はbe動詞やseemなどしか使えない」という違いもあります)
such A as Bのパターン
such A as Bの形で、asが関係代名詞的に使われることがあります。先行詞Aを、as Bのカタマリが修飾するように訳します。「BのようなA」という訳が基本になります。
例文はコチラ。
This is such a book as can be easily understood.
(これは、簡単に理解出来るような本です)
2つに分解すると下記の通り。
This is such a book as can be easily understood.
- This is such a book. (これはそのような本である)
- as (= a book) can be understood. (その本はカンタンに理解できる)
なお、such A as Bは、関係代名詞ではないパターンもあるので一応注意です。訳は同じく「BのようなA」
関係代名詞such A as Bとの違いは、Bの部分に名詞が来るコトです。(関係代名詞のパターンだと文が来てましたね)
Such animals as these are dangerous.
(このような動物は危険だ
= 直訳:これらのような動物は危険だ)
the same A as Bのパターン
the same A as Bの形で、asが関係代名詞的に使われることがあります。
such A as Bと似ていますね。先行詞Aを、as Bのカタマリが修飾するように訳します。「Bと同じA」という訳が基本になります。theを忘れないでくださいね。(「同じモノ」なので、theを使って「それ!」と特定するようなイメージ)
例文はコチラ。
This is the same book as he has.
(これは、彼が持っているのと同じ本です)
2つに分解すると下記の通り。
This is the same book as he has.
- This is the same book. (これは同じ本である)
- he has as (= the same book). (彼は同じ本を持っている)
なお、前半部分と後半部分で同じ動詞が使われるときは、後半部分の動詞が省略されることもあります。
I have the same book as he (has).
(わたしは、彼が持っているのと同じ本を持っています)
as A as Bのパターン
as A as Bの形で、asが関係代名詞的に使われることがあります。先行詞Aを、as Bのカタマリが修飾するように訳します。「Bと同じA」という訳が基本になります。
例文はコチラ。
He is given as much food as he can barely live on.
(彼は、かろうじて生きているだけの食料を与えられている
= 直訳:彼は、彼がかろうじて生きていけるのと同じ量の食料を与えられている)
2つに分解すると下記の通り。
He is given as much food as he can barely live on.
- He is given as much food. (彼はその量の食料を与えられている)
- He can barely live on as (= much food). (彼はその量の食糧でかろうじて生きていける)
なお、as A as Bは、関係代名詞ではなく、比較級のパターンもあるので一応注意です。訳は「Bと同じくらいA」
関係代名詞as A as Bとの違いは、Bの部分が完全な文を前提としているコトです。
He is as tall as I.
= He is as tall as I am tall. (省略ナシ。前提としている文)
- He is as tall. (彼は同じくらい背が高い)
- I am tall. (わたしは背が高い)
(かれは私と同じくらい身長が高い)
関係代名詞のパターンだと、Bの部分にasを埋めないと完全な文にならないんです。ただ、比較級のパターンだとBの部分にasを埋めなくても完全な文になります。今回なら、I am tallというのは、asなしでも完全な文として成り立っていますね。これは、後ろの方のasが接続詞 (andとかと同じ)として使用されているからです。
熟語のパターン
その他定型表現がいくつかあるので、まとめて紹介します。ここでのasは、全て非制限用法的に使われています。
- as is often the case with A:Aにはよくあることだが
- as is usual with A:Aにはよくあることだが
- as is evident from A:Aから明らかなように
- as so often happens:よくあることだが
- as might have been expected:期待通りに、さすがに
例文はコチラです。非制限用法なので、前の文の内容を先行詞にしています。順番は入れ替え可能です。
He didn’t listen to me, as is often the case with him.
= As is often the case with him, he didn’t listen to me.
(彼にはよくあることだが、彼はわたしの話に耳を傾けなかった)
疑似関係代名詞but
お次は疑似関係代名詞butです。固い表現で、日常会話で使うことはほぼない気がします。先行詞が否定的な語であるとき、butが関係代名詞的に使われることがあります。
~but…で「…でない~」と訳すのが基本です。
= that…notと考えるとわかりやすいです。
コチラの例文では、先行詞nobodyを、but has moneyという関係代名詞のカタマリが修飾しています。
There is nobody but has money.
= There is nobody that does not have money.
(お金を持っていない人は一人もいない)
2つに分解すると下記の通りです。
There is nobody but has money.
- There is nobody. (だれもいない)
- nobody (=but) has money. (だれもお金を持っていない)
疑似関係代名詞than
最後は疑似関係代名詞thanです。~than…で「…以上の~」と訳すのが基本です。比較表現(moreや-erなど)と一緒に使われます。
There is more water than is needed.
(必要以上の水がある)
2つの文に分解すると下記のとおりです。
There is more water than is needed.
- There is more water. (必要以上の水がある)
- Water (=than) is needed. (水が必要である)
まとめ
いかがでしたか? 最後に今回の内容を改めてまとめておきます。
<as>
- 非制限用法として使用(whichとの違いは、「①asのカタマリは先行詞より前に来ることも可能」「②as内で否定語を使うのはダメ、which内で否定語を使うのはOK」「③asが主格になる時はbe動詞やseem、appearなどしか使えない」という点)
- such A as Bで「BのようなA」
- the same A as Bで「Bと同じA」
- as A as Bで「Bと同じA」
- その他定型表現は下記の通り
- as is often the case with A:Aにはよくあることだが
- as is usual with A:Aにはよくあることだが
- as is evident from A:Aから明らかなように
- as so often happens:よくあることだが
- as might have been expected:期待通りに、さすがに
<but>
- ~but…で、「…でない~」という意味
- butをthat…notで書き換えるとわかりやすい
<than>
- ~than…で「…以上の~」という意味
今回の記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。例文を何度か音読してみると頭に残りやすくなります。
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