今回はtheの意味や使い方をまとめてみました。
「え、どうしてtheが付くの?」「どうしてtheが付かないの?」
という表現も、この記事を読めばもうバッチリです。
theが付く/付かない理由もハッキリわかる、痛いところに手が届く解説を心がけました。
死ぬほどわかりやすいので、ぜひお読みくださいね。
theの意味と使い方まとめ
まずはtheの使い方の大原則を確認してみましょう。
- みんなが指させる
- 全体の中の一部を区別する
- くるっとまとめあげる
よくわからん…
具体例と共に一緒に見ていきましょう。
いままで「なぜtheが付く/付かない」のか意味不明だった表現も、
theの大原則を理解することで完全に理解することが出来ますよ。
the: みんなが指させる
まずは、みんなが指させる(≒読者が指させる)から”the”が付く表現を見てみましょう。
みんなが指させるからtheが付く表現
theの最も基本的な意味は「みんなが指させる」です。
下の例文を見てください。
There was a dog, and the dog was barking.
(一匹のイヌがいた。そしてそのイヌは吠えていた)
一回目に出てきたdogには”a”、二回目に出てきたdogには”the”が付いていますね。たぶん、この説明は中学や高校で聞いたことがあると思います。
これは少し言い方を変えて、このように考えましょう。
二回目のdogに”the”が付いているのは、みんな(=読者)がそのイヌを「ああ、そのイヌね」と指さすことが出来るからです。
この発想が理解出来ていると、下記の表現で、いきなりtheが使われている理由が理解できるハズです。
The moon is beautiful.
(月が美しい)
He is the tallest boy in his class.
(彼はクラスで一番背が高い男の子だ)
たとえば、地球から見て月は一つしかありませんよね。
“moon (月)”と言った瞬間、「ああ、あの月ね」と文の読み手は、空に浮かぶ月を指させるわけです。少し小難しく言うと、読み手との間に共通の理解が成り立っているのですね。
また、”the tallest boy”に”the”がついているのも同じ発想で理解できます。
ここでは最上級表現を使い「一番背が高い男の子だ」が使われていますが、「一番」と言った瞬間、「どの男の子か?」が自動的に決まってきますよね。一番背の高い男の子は一人しかいないので、やはり読み手は「ああ、その男の子か」と指させるわけです。
※ちなみに、the second/third tallest boyのように、「二番目/三番目に背が高い男の子」にもtheは付きます。二番目、三番目も一人しかいませんからね。
下記の表現は、全て一回目の出現でも”the”が付きます。
指さすことの出来るものにはtheが付く、という発想でチェックしてくださいね。
- the moon(月)
- the sun(太陽)
- the only thing(唯一の物)
- the first thing(最初の物)
- the tallest boy in his class(クラスで一番背の高い男の子)
- by the kilo: キロ単位で
- by the dozen: 1ダース単位で
- by the hour: 1時間単位で
- by the hundred: 百単位で
⇒単位は社会全体で共有している考え方ですよね。「キロ単位で牛肉売ります」のような場合、”by the kilo”と言いますが、読み手は「ああ、あのキロっていう単位のことね」とやはり瞬時に理解することが出来ます。
- Can you tell me where the station is?(駅がどこか教えてくれませんか?)
最後の文は少し解説が必要かもしれません。
「駅を教えてください」と聞くような場合、”the station”と表現しますが、これもやはり読み手が指させるからです。
たとえば、皆さんが外国人から道を聞かれた時を想像してほしいのですが、
「駅どこ?」と聞かれたら、「ああ、この人は最寄り駅に行きたいのだな」と通常は判断しますよね。
そのため、「最寄り駅ってあの駅だよね」と指させる状況が既に出来ているわけなので、”the”が付くのですね。
みんなが指させないからtheが付かない表現
一方、月や駅に関する表現でも、みんなが指させない場合は”the”ではなく”a”が使われることがあります。
まずは月から考えてみましょう。
- a half moon(半月)
- a full moon(満月)
- a new moon(新月)
半月/満月/新月は、約30日ごとにやってきますよね。
つまり、一年の中で、半月/満月/新月はざっくり12回やって来るわけです。
だから、いきなり”the half/full/new moon”のように”the”を付けられても、指差すことが出来ないわけです。だから、文で初めてこれらの表現が出てくるときは、原則として”a”とセットで使われるのです。
また、駅でも文脈によっては指差せないので、”a”とセットで使われることがあります。
- I went to a station while I was in Hungary, and I had an odd experience there.
(わたしがハンガリーにいた間、ある駅へ行った。そこでおかしな体験をした)
ハンガリーの話をされて、いきなり”the”を使って「その駅で…」と言われても「どの駅だよ!」とツッコミが入りますよね。
やはり、読者が指させないものにはtheが付かないのです。
the: 全体の中の一部を区別する
次に、全体の中の一部を区別するから”the”が付く表現を見てみましょう。
全体の中の一部を区別するからtheが付く表現
全体の中の一部を区別するからtheが付く表現です。
下の例文を見てください。先ほどと同じ例文です。
There was a dog, and the dog was barking.
(一匹のイヌがいた。そしてそのイヌは吠えていた)
これは下記のようイメージです。(註:これはイヌの絵です)
世の中にイヌはたくさんいるけれど、その中でもある特定のイヌ (the dog)について話をしていますよ、というのがここで把握してほしい”the”のイメージです。
これって、世の中にたくさんいるイヌの中から、一部のイヌを区別しているイメージなのです。
全体から一部を区別する。
このイメージを元に、下記の表現を見てみてください。
- the left/right: 左/右
- the past/present/future: 過去/現在/未来
- the east/west/south/north: 東/西/南/北
- in the morning/afternoon/evening: 朝に/午後に/夕方に
- the 1970s / 1980s: 1970年代/1980年代
- take 人 by the 身体の部位: 人の身体の部位をつかむ
上から、
- 「左右」という全体に対する「右」「左」
- 「過去現在未来」という全体に対する「過去」「現在」「未来」
- 「東西南北」という全体に対する「東」「西」「南」「北」
- 「一日の時間の流れ」という全体に対する「朝」「午後」「夕方」
- 「西暦」という全体に対する「1970年代」「1980年代」
- 「頭や腕、脚、胴体」という全体に対する「ある身体部位」
ですね。
どれも、「全体に対する一部」という発想で使用されている点に注目です。
なお、一番最後の「take 人 by the 身体の部位: 人の身体の部位をつかむ」はもう少し丁寧に解説しておきましょう。
下の例文を見てください。「人 = her」「身体の部位 = arm」になっています。
He took her by the arm.
(彼は彼女の腕をつかんだ)
“arm (腕)”の前に”the”が付いているのは、
「頭や腕、脚、胴体」という全体に対する「ある身体部位 (腕)」
について言及しているからです。
同様に、「頭/脚をつかむ」ということを言いたければ、
- took her by the head
- took her by the leg
という表現になります。
※なお、「どうして”take 人 by the 身体の部位”という語順になるのか (どうして”take the 身体の部位”という語順にならないのか)」が気になる方は、下記の記事をご覧くださいね。より詳しく説明しています。
【本質理解】take him by the armとtake his armの違いとは?
the: くるっとまとめあげる
最後に、くるっとまとめあげるために”the”が付いている表現を見てみましょう。
くるっとまとめあげるから”the”が付く表現
くるっとまとめあげるために”the”が付いている表現です。
これまで同様、イヌを使った例文で「theがくるっとまとめあげる感覚」をつかんでいきましょう。
例文はコチラです。
There were two dogs, and the dogs were barking.
(二匹のイヌがいた。そしてそのイヌたちは吠えていた)
世の中には様々なイヌがいますが、ここでは”the”をつけることで、
「ある特定の二匹のイヌをくるっとまとめ上げて取り出すこと」が出来ています。
この、特定のモノを「くるっとまとめ上げて取り出す感覚」で理解出来るのが下記の表現です。
- the Mediterranean Sea (地中海)
- the Sea of Japan (日本海)
- the Pacific Ocean (太平洋)
- the Shinano River (信濃川)
- the Japanese Islands (日本列島)
- the United States (アメリカ合衆国)
- the Browns (ブラウン一家)
- the Alps (アルプス山脈)
- the New York Yankees (ニューヨークヤンキース)
- the poor / the rich (貧乏な人々 / お金持ちの人々)
- the Chuo line (中央線)
- the Cascade Tunnel (カスケードトンネル)
- the Yokohama Bay Bridge (横浜ベイブリッジ)
これだけだとイマイチわからないかもしれません。
たとえば、”the Sea of Japan (日本海)”と”the Pacific Ocean (太平洋)”で考えてみましょう。
下記の図を見ればわかりますが、自然のままの状態だと、海って境界線がわかりにくいですよね。「どこからどこまでが日本海なのか/太平洋なのか」がかなり不明瞭です。
ただ、ここで”the (くるっとまとめあげる)”を付けることで、「どこからどこまでが日本海なのか/太平洋なのか」をハッキリとさせることが出来るのですね。
このようなイメージで先ほどのまとめを見ると、
- 「境界が曖昧なのでまとめ上げる必要があるモノ」
- 「大きすぎる/長すぎるのでまとめ上げる必要があるモノ」
- 「バラバラなのでまとめ上げる必要のあるモノ」
に”the”が付いていることがわかりますね。
- the Mediterranean Sea (地中海)
- the Sea of Japan (日本海)
- the Pacific Ocean (太平洋)
- the Shinano River (信濃川)
- the Japanese Islands (日本列島)
- the United States (アメリカ合衆国)
- the Browns (ブラウン一家)
- the Alps (アルプス山脈)
- the New York Yankees (ニューヨークヤンキース)
- the poor / the rich (貧乏な人々 / お金持ちの人々)
- the Chuo line (中央線)
- the Cascade Tunnel (カスケードトンネル)
- the Yokohama Bay Bridge (横浜ベイブリッジ)
くるっとまとめ上げる必要がないから”the”が付かない表現
逆に、くるっとまとめ上げる必要がない場合は、”the”が付きません。
その代表格は湖や山です。
- Lake Victoria (ビクトリア湖)
- Lake Kawaguchi (河口湖)
- Mt. Fuji (富士山)
- Mt. Takao (高尾山)
- Mt. Everest (エベレスト)
- Mt. Rainier (マウントレニア)
これもイメージでつかみましょう。下の図を見てください。
上の図を見てもわかる通り、山や湖は輪郭が比較的ハッキリしていますよね。
そのため、わざわざ”the”を付けてまとめ上げる必要がないのです。
(“the”を付けずともまとまっているのです)
そのため、”the”が付いていないのですね。
一方、山でも、山脈 (=山のまとまり)であれば、原則”the”が付くのです。
山脈というのは一見バラバラなものなので、”the”の力を借りてまとめ上げてやる必要があるのですね。
- the Rockies
- the Alps
- the Pyrenees
- the Scandinavian Mountains
※山脈 (=複数の山のカタマリ)なので、語尾が-sになっている点にも注目してくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
一見法則の見えない”the”の使い方ですが、こうして考えてみると、
実はかなり強いルールがあることに気づきますね。
最後に”the”の最重要ルールを改めてまとめておきます。
- みんなが指させる
- 全体の中の一部を区別する
- くるっとまとめあげる
本記事を何度も読み返し、日本人の天敵”the”のイメージをガッチリ理解してくださいね。
なお、”a/an”についても意味・用法をまとめた記事を書いています。これ一つ読んでおけば、”a/an”はかなりの範囲をカバーできます。もしよければコチラもお読みくださいね。
冠詞についてさらに詳しく学びたい方には、aとtheの底力 — 冠詞で見えるネイティブスピーカーの世界がおススメです。
わたしが今まで読んだ冠詞系の本の中で、一番わかりやすい&本質に迫った説明がなされていると感じました。一般の書店にはあまりないのですが、ぜひ一度お読みすることをおススメします。
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ありがとうございます!
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