今回はラテン語語源の比較表現の用法についてまとめてみました。
preferなんかは、prefer A to Bの形やprefer to Vの形で使われたりと、用法も少し難しかったりします。
しかし、ある程度傾向さえつかんでしまえば、暗記もだいぶ楽になります。要点をおさえた説明になっているので、ラクラク理解できるはずです!
ラテン語比較表現/用法/語源まとめ
ラテン語比較表現/用法/語源まとめは下記のとおりです。
<原則>
- -orや-erで終わる(ラテン語語源の形容詞比較表現に由来)
- thanの代わりにtoを使うのが普通。moreやlessの使用はしない
<形容詞表現>
- prior to A:Aより前に(時間)
- posterior to A:Aより後に(時間)
- anterior to A:Aより前に(場所)
- posterior to A:Aより後ろに(場所)
- superior to A:Aより優れている
- inferior to A:Aより劣っている
- senior to A:Aより年上
- junior to A:Aより年下
<動詞表現>
- prefer A to B:BよりAを好む
preferの主な用法
- prefer Ving: Vすることをより好む
- prefer to V: Vする方をより好む
- prefer 人 to V: 人にVしてもらいたい
- prefer A to B: BよりもAの方を好む(AとBには名詞か動名詞Vingが入る)
- prefer to V1 rather than to V2: V2よりもV1する方を好む
<強調表現>
- much/farが好まれる
英語というのは、いろんな言語の流入を受けているんですね。ヨーロッパという地理的な条件を考えると納得です。近隣の言語の影響を受け、現在に至るのです。
その中の一つがラテン語。特に学問分野など、「格式の高い」単語に多くの流入が見られるようです。
そして、今回とりあげるラテン語語源の比較表現には、
- -orや-erで終わる
- thanの代わりにtoを使うのが普通
という特徴があるのですね。
このことを頭に入れたうえで、以下の具体例を見ていきましょう。
※ちなみに、toが比較の意味を帯びるのは、「face-to-face(フェイス・トゥー・フェイス): 対面の、向かい合った(≒顔に対して顔を向かい合わせた)」がイメージ的には近いです。ここでtoは「~に対して」という意味で使われていますね。比較のtoもこれに近い意味です。「~に対してより…」ということで、何かと何かを突き合わせて比べるイメージです。
形容詞表現
まずは形容詞表現から見ていきます。
<形容詞表現>
- prior to A:Aより前に(時間)
- posterior to A:Aより後に(時間・場所)
- anterior to A:Aより前に(場所)
- posterior to A:Aより後ろに(時間・場所)
- superior to A:Aより優れている
- inferior to A:Aより劣っている
- senior to A:Aより年上
- junior to A:Aより年下
prior/posterior to A
priorは「前の、優先する(時間的に)」という形容詞です。priority「優先事項、優先権」という意味の名詞もありますね。(priority seat「優先席」なんて言葉もありますね)
priには「第一番目の」という語源があり、様々な単語に派生しています。語源を考えるのは、一気に10~20の単語を覚えられるのでおススメの学習法です。興味のある方は【語源でイメージ】”prin/prim”の英単語まとめ【prince/prime/principal…】をお読みくださいね。
一方のposteriorは「後に(時間的・場所的に)」という形容詞です。priorと異なり、「時間的/場所的」などちらの意味にも使用されます。postには「後ろ」という語源があるのですね。
「prior to A: Aより前に」、「posterior to A:Aより後に」です。
コチラが例文です。今回は時間的な意味合いで使われています。
You should turn off your mobile phone prior to the takeoff.
(君は、離陸前に携帯電話の電源を切らなくちゃいけない)
anterior/posterior to A
次に「anterior to A:Aより前に(場所)」「posterior to A:Aより後ろに(場所)」を見てみましょう。いずれも形容詞です。時間的な文脈で使用されている点に注目です。
The building is located in the region posterior to Kabukicho.
(その建物は歌舞伎町の後方の地域に位置している)
superior/inferior to A
コチラはセットでやりましょう。
superiorは「優れている」という意味の形容詞です。“super”の部分に「優れた、上の」といった語源があるのですね。superman「スーパーマン」なんてのはまさにその意味です。
一方、inferiorは「劣っている」という意味の形容詞です。”infer”の部分に「低い」という語源が隠されています。
というわけで、superior to Aで「Aより優れている」、inferior to Aで「Aより劣っている」という意味になります。
それぞれの例文はコチラ。
He is superior to her.
(彼は、彼女より優れている)
He is inferior to her.
(彼は、彼女より劣っている)
senior/junior to A
コチラもセットでやりましょう。
seniorは「年上の、(地位などが)上位の」という意味の形容詞です。「シニア」という表現は日本語にも定着していますね。senには「年を取った」という語源があります。
一方、juniorは「年下の、(地位などが)下位の」という意味の形容詞です。「ジュニア」という表現も日本語に定着していますね。junには「若い」という語源があります。
というわけで、senior to Aで「Aより年上の」、junior to Aで「Aより年下の」という意味になります。
それぞれの例文はコチラです。
He is senior to her.
(彼は彼女より年上だ)
He is junior to her.
(彼は彼女より年下だ)
動詞表現
次に動詞表現を見ていきましょう。
prefer A to Bが基本的な使い方ですが、下記のように様々な用法があるので要注意です。
<動詞表現>
- prefer A to B:BよりAを好む
preferの主な用法
- prefer Ving: Vすることをより好む
- prefer to V: Vする方をより好む
- prefer 人 to V: 人にVしてもらいたい
- prefer to A to B: BよりもAの方を好む(AとBには名詞か動名詞Vingが入る)
- prefer to V1 rather than to V2: V2よりもV1する方を好む
例文付きで確認していきましょう!
prefer A to B
preferは「~を好む」という意味の動詞です。これとtoが結びつき、prefer A to Bで「BよりAを好む」とすることがあります。
「pre: 前に」、「fer: 運ぶ」という語源からきています。「前に運ぶもの = 自分の好きなもの」という発想ですね。
コチラが例文です。「野球>サッカー」という関係になっていますね。
I prefer baseball to soccer.
(わたしは、サッカーより野球が好きだ)
prefer Ving: Vすることをより好む
「prefer Ving: Vすることをより好む」です。
コチラが例文です。
I used to like running, but I now prefer swimming.
(わたしは昔ランニングが好きだったが、今では泳ぐ方が好きだ)
prefer to V: Vする方をより好む
「prefer to V: Vする方をより好む」です。
I prefer to live in Hokkaido.
(わたしは北海道に住む方を好みます)
prefer 人 to V: 人にVしてもらいたい
「prefer 人 to V: 人にVしてもらいたい」です。
I prefer you to come with me.
(あなたに私と一緒に来て欲しい)
なお、「人 to V」の形を取る動詞は非常にたくさんあり、あるイメージが理解できると暗記が楽になります。下記に詳しくまとめてありますので、よろしければどうぞ。5分程度で読めます。
【カンタン理解!】SVO to V型の動詞【意味・用法まとめ】
prefer to A to B: BよりもAの方を好む
「prefer to A to B: BよりもAの方を好む」です。AとBには名詞か動名詞Vingが入るのがポイントです。
I prefer baseball to soccer.
(わたしは、サッカーより野球が好きだ)
I prefer eating to sleeping.
(わたしは、眠るより食べる方が好きだ)
prefer to V1 rather than to V2: V2よりもV1する方を好む
「prefer to V1 rather than to V2: V2よりもV1する方を好む」です。
I prefer to live in Hokkaido rather than (to) live in Tokyo.
(わたしは東京に住むより北海道に住む方を好みます)
※二つ目のtoは省略可
ラテン語比較表現の強調
ラテン語比較表現を強調する際は、muchやfarが主に使われます。比較の意味合いを含むとき、veryは好まれないようです。(ここら辺は感覚の問題です)
He is much senior to her.
= He is far senior to her.
(彼は、彼女よりずっと年上だ)
おわりに
いかがでしたか? 語尾も前置詞toの使い方も決まっているので、割と覚えやすいのではないでしょうか?
個人的には、thanを使った比較級より、ラテン語語源の比較級の方がスッキリしていて好きです。「-erを使うべきか、moreを使うべきか?」というややこしい問題を考えずに済みますしね。
参考記事: thanの強調表現を品詞から考える
改めてまとめを掲載しておきます。今度は頭に入りやすくなっているはずです。
<原則>
- -orや-erで終わる(ラテン語語源の形容詞比較表現に由来)
- thanの代わりにtoを使うのが普通。moreやlessの使用はしない
<形容詞表現>
- prior to A:Aより前に(時間)
- posterior to A:Aより後に(時間)
- anterior to A:Aより前に(場所)
- posterior to A:Aより後ろに(場所)
- superior to A:Aより優れている
- inferior to A:Aより劣っている
- senior to A:Aより年上
- junior to A:Aより年下
<動詞表現>
- prefer A to B:BよりAを好む
preferの主な用法
- prefer Ving: Vすることをより好む
- prefer to V: Vする方をより好む
- prefer 人 to V: 人にVしてもらいたい
- prefer to A to B: BよりもAの方を好む(AとBには名詞か動名詞Vingが入る)
- prefer to V1 rather than to V2: V2よりもV1する方を好む
<強調表現>
- much/farが好まれる
コメント
[…] 参考:【prefer / superior / inferior…】ラテン語語源の比較表現まとめ […]
[…] ・ラテン語語源の比較表現まとめ【prefer / superior / inferior…】 […]
[…] prior: ~より前の(最初にくるもの。なお、ラテン語比較級について詳しくはラテン語語源の比較表現まとめを参照) […]