【決定版】英語で倒置が起こるパターン -否定/場所/仮定法/譲歩…

倒置・否定・省略・強調

 

今回は英語で倒置が起こるパターンを全てまとめてみました。

 

倒置とは、一般的な語順 (SVO、SVOO等の5文型の語順)からは外れるモノ (特にSVがVSの語順になること)のことです。

 

初見では「?」となりやすい表現なので、大学入試やTOEIC等でも頻出事項です。

 

逆に、知ってさえいればカモに出来る分野なので、これを機会に全て網羅してしまいましょう!

 

倒置の全9パターンまとめ

まずは全体像から見てみましょう。

 

文の倒置が起こるパターンは下記の通りです。(1⇒〇で重要度の高い順に並べてあります)

 

倒置全9パターンまとめ
  1. 否定の意味を持つ語句が文頭に来た場合(文否定の場合のみ)
  2. 場所を示す副詞が文頭に来た場合
  3. so, neither, norで始まる文
  4. 仮定法での倒置
  5. 譲歩の倒置
  6. 補語が文頭に来る場合
  7. 感嘆文
  8. There is構文
  9. 疑問文

 

 

これだけ見てもよくわからないですね。

 

ざっと目を通したところで、一つずつ詳しく見ていきましょう。

 

倒置の例文

倒置の具体例を例文と一緒に見ていきましょう!

 

否定の意味を持つ語句が文頭に来た場合

否定の意味を持つ語句が文頭に来た場合、倒置が起こります。

 

“S+V~⇒V+S~になるのですね。

 

コチラが例です。(上が倒置前、下が倒置後の文)

He little knows the fact.

Little does he know the fact.

(彼はその事実に少しも気づいていない)

 

 

Little(少しも~ない)という否定語が文頭にくることで、後ろがdoes (V), he (S)という語順になっていますね。

 

仮に過去形が使われていれば、didを使いましょう。疑問文と同じ要領で文を作ればよいわけです。

 

 

なお、倒置でdo/does/didを使うのは原則として否定の形のみです。他の例では、do/does/didすら使わず、単純にSとVの位置を組み替えたりするだけです。

※後ほど出てくるso/neither/norでは、省略と絡めてdo/does/didが使われます。また、疑問文の形でもdo/does/didが使われます。

 

 

他にも例を挙げておきます。こちらもnoという否定語が最初のカタマリにきているので、倒置が起きています。

He studied hard under no circumstances.

Under no circumstancesdid he study hard.

(どんな状況下にあっても、彼は一生懸命勉強しなかった)

 

 

 

なお、下記の例では倒置は起きません。倒置させると文としては×です。

No doubt he will pass the exam.

(間違いなく、彼はその試験に合格するだろう)

 

これは、“No doubt (疑いなく/間違いなく)”という表現が、否定の意味になっていないためです。倒置が起こるのは、文頭に否定の意味を持つ語句が文頭に来たときのみです。

 

 

 

さらに難しいのが下記の例です。やはり倒置は起こりません。

He studied hard for no reason.

⇒× For no reasondid he study hard.

⇒〇 For no reasonhe studied hard.

(理由なしに、彼は一生懸命勉強した)

 

 

どうして?

 

先ほどの例で見てみましょう。

 

上の場合は、noが文全体を否定する文否定

下の場合は、noがfor reasonだけを否定する要素否定になっている点に注目です。

He studied hard under no circumstances.

Under no circumstancesdid he study hard.

(どんな状況下にあっても、彼は一生懸命勉強しなかった)

 

He studied hard for no reason.

⇒ For no reasonhe studied hard.

(理由なし、彼は一生懸命勉強した)

 

 

上の例のunder no circumstancesは、「勉強しなかった」と文全体を否定しています。一方、下の例のfor no reasonは、「理由なしに」とfor reasonという要素だけ(カタマリだけ)を否定しています。

 

このように、文否定の場合だけ倒置が起こり、要素だけを否定している場合は倒置が起こらないのだ、という例外もチェックしておきましょう。

 

 

なお、否定の話は下記の本でさらに詳しく説明されています。

 

否定だけで超中身の濃い情報が200ページぎっしり詰まっています。中~上級者向きの本ですが、興味がある方はぜひトライしてみてください。とても面白くてタメになりますよ。

 

 

場所を示す副詞が文頭に来た場合

場所を示す副詞が文頭に来た場合も倒置が起こります。

 

ただし、Sが人称代名詞 (you, he, she, itなど)の場合は、倒置が起きないので注意してください。

 

コチラが例です。(下は人称代名詞が使われ、倒置が起きていないパターン)

Here comes the sun.

Here it comes.

(ほら、太陽がやって来る)

 

 

The sun (S) comes (V) here.という元の文が、

Hereが文頭に出ることで、VとSの語順が逆になったのですね。

(人称代名詞itが使われている場合は、語順が逆にはなりません)

 

 

英語では「旧情報(代名詞などの既に知っている情報)⇒新情報(全く新しい情報)」という流れで文が作られます。

 

そのため、人称代名詞itが使われている場合は、倒置が起こりません。「it = それ」は旧情報(既に分かっている情報)を指す単語なので、文の頭の方に引きずり出されるのですね。

 

 

なお、否定の場合の倒置のように、Here does the sun come.となることはありません。

(do/does/didが使われることはありません)

 

so, neither, norで始まる文

so, neither, norで始まる文も倒置します。

 

コチラが例です。このパターンは、~and neither…のようにandから始まることが多いです。

“I will study English.” “So will I.” (「英語を勉強します」「わたしもします」)

He doesn’t study English, and neither do I. (彼は英語を勉強せず、わたしもしない)

He doesn’t study English, nor do I (彼は英語を勉強せず、わたしもしない)

 

 

neitherとnorは用法に注意が必要なので、「よくわからん!」という方はぜひ下記の記事をお読みください。

【要注意!】nor/neither/not eitherの違いとは?【3分で理解】

 

また、Soが文頭に来ても倒置が起こらないという例外もあります。下記の記事で3分程度でサクッと確認できるので、コチラもぜひお読みくださいね。

【超上級】Soが文頭にあるのに倒置しない理由とは

 

仮定法での倒置

仮定法では、倒置をすることでifを省略することが出来ます。

 

例はコチラです。(上が省略前、下が省略後です)

IfI were you, I would go with her.

= If Were I you, I would go with her.

(もしわたしがあなたなら、わたしは彼女と一緒に行くのに)

 

 

なお、仮定法だからといってどんな場合でも倒置できるわけではないのでご注意を。詳しくは下記の記事にまとめてありますので、ぜひお読みくださいね。

【仮定法】ifの倒置と省略とは?【意外な落とし穴も…】

 

譲歩の倒置

譲歩(~だけれども)の意味になる場合も倒置し、通常とは異なる語順になります。

 

主に、

  • 形容詞/副詞/名詞 as S V
  • V as S 助動詞
  • V what S 助動詞

のパターンがあります。

 

Hard as he studied, he failed to pass the exam. (一生懸命勉強したけれど、彼は試験に落ちた)

Try as he would, he failed to pass the exam. (一生懸命やってみたけれど、彼は試験に落ちた)

Say what you will, I will not study. (あなたが何を言っても、わたしは勉強しない)

 

 

なお、asは時/理由/譲歩…など様々な意味がありますが、

  • 譲歩の意味になる場合は、必ず「形容詞/副詞 as S V」という語順になるが、
  • 「形容詞/副詞 as S V」という語順だからといって必ず譲歩の意味になるわけではない

という点に注意しましょう。

 

補語が文頭にくる場合

補語が文頭にくる場合も倒置が起こります。so~ that/such ~のso~/such~の部分が文頭に来て倒置、というパターンは特に要注意です。

 

こちらが例です。(上が倒置前、下が倒置後です)

The man was so great that he helped others.

= So great was the man that he helped others.

 

The man was such that he helped others.*

= Such was the man that he helped others.

(彼はとても偉大だったので、他人を助けた)

*such that~はso great that~の意味を持ちます。詳しくは下記の記事をお読みください。

【とても~なので】S is such that~の訳し方は?【so that言い換え】

 

 

ただし、場所が文頭にくる場合と同様、Sが人称代名詞 (you, he, she, itなど)の場合、倒置が起きないので注意してください。

Kind are people who help others.

Kind they are who help others.

(他人を助ける人々は親切だ)

 

感嘆文

感嘆文も倒置の一種です。本来後ろにくるべき表現が、文頭に出されます。

 

コチラが例です。(上が倒置前、下が倒置後の感嘆文です)

He is great.

= How great he is!

(彼はなんて偉大なのだ!)

 

He is a great man.

= What a great man he is!

(彼はなんて偉大な男なのだ!)

 

なお、howとwhatには次のような違いがあります

  • how: howのカタマリが名詞を含まない
  • what: whatのカタマリが名詞を含む

 

There is構文と疑問文

There is構文と疑問文も実は倒置の一種ですね。

 

まずはThere is構文から。is/livedがVで、a house/a manがSになっています。(VとSが倒置しています)

There is a house on the hill. (その丘の上に一軒の家がある)

There lived a man in the house. (その家には一人の男が住んでいた)

※Thereは、There is構文であることを示す単語なので、訳すことはありません。

 

 

疑問文も一応例文だけ載せておきます。やはりDo/Does/Didなどが文頭に来ていますね。

Do you like him?

(あなたは彼を好きですか?)

 

まとめ

いかがでしたか?

 

最後に改めてざっとまとめてみましょう。

 

倒置全9パターンまとめ
  1. 否定の意味を持つ語句が文頭に来た場合(文否定の場合のみ)
  2. 場所を示す副詞が文頭に来た場合
  3. so, neither, norで始まる文
  4. 仮定法での倒置
  5. 譲歩の倒置
  6. 補語が文頭に来る場合
  7. 感嘆文
  8. There is構文
  9. 疑問文

 

 

これさえ把握しておけば、もう倒置は怖いものナシですね!

 

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